在宅時でも狙われる時代の最新防犯システム


全国で窃盗・強盗事件が相次いでいることから、在宅中の防犯意識が高まっています。
外出中を狙う空き巣は、ある意味安全といえるでしょう。怖いのは、在宅中に侵入し、大切な人の命を簡単に奪う強盗です。犯罪から家族を守るため、対策を考えなくてはなりません。
夏休みで家族の在宅時間が増える前に、手軽にできる防犯対策と最新の防犯テクノロジーを知り、不安な時代を生き抜くための知識を身につけましょう。

きっかけは「ルフィ事件」

在宅時の防犯が注目されるようになったきっかけのひとつに、世間を震撼させた「ルフィ事件」があります。ルフィ事件とは2022年から続く広域強盗事件のことで、ルフィと名乗る指示役がSNSで多額の報酬をエサに実行役を募集し、実行役が指定された住宅へ侵入。金品だけでなく、鉢合わせた人の命まで奪いました。

安心の象徴である住まいが脅かされる事件として、今も不安な気持ちを抱えている人は多いでしょう。日常を守るためにも、防犯への意識を高めていかなければなりません。

まずは気軽にできる身近な防犯対策を

在宅時の防犯の重要性が高まっているとはいえ、防犯ガラスに替えるといった大きな設備投資は予算的にも難しいものです。そのため、まずは身近な防犯対策からはじめてみることをおすすめします。

もっとも手軽な防犯対策は「防犯ブザー」の所持です。本来は外出時に使用するものですが、在宅中でも手の届くところに置いておけば十分に活用できます。また、子どもに持たせたいという人が多いことから、学童文具商品を販売する株式会社デビカでは、子どもが持ちたくなるようなデザインの防犯ブザーを取りそろえています(図表1)。外出時はもちろん、在宅時の防犯のはじめの一歩として、防犯ブザーを検討してみてください。

図表1:防犯ブザー(株式会社デビカ)

防犯ブザー(株式会社デビカ)
カラフルな防犯ブザー。外出時はランドセルやバッグに取り付けて持ち歩き、帰宅後は玄関などにぶらさげておけば、屋内外の防犯対策として使える。

窓の締め忘れを防ぐ秘訣はホームセキュリティにあり

警視庁の情報サイト「住まいる防犯110番」によると、侵入窃盗の発生場所として最も多いのは一戸建て住宅で、全体の33%を占めています。また、図表2のとおり、窃盗被害に遭った一戸建て住宅の侵入経路の1位は窓です。その侵入手口を見てみると、2022年の侵入窃盗総数12,071件のうち、51.2%は無締まりの窓や出入口からの侵入によるものでした(図表3)。このことから、窓の締め忘れ防止の徹底は、立派な防犯対策といえるでしょう。

図表2:侵入窃盗の侵入口

侵入窃盗の侵入口
出典:警視庁「住まいる防犯110番」(2022年データ)

図表3:侵入窃盗の侵入手口(一戸建て住宅)

侵入窃盗の侵入手口(一戸建て住宅)
出典:警視庁「住まいる防犯110番」(2022年データ)

株式会社Secualの「Secual Home(セキュアルホーム)」は、在宅時の防犯を実現しつつ、窓の締め忘れを防止できるサービスです(図表4)。自宅に人の動きや窓の開閉を感知するセンサーを設置すると、何者かが侵入した際にセンサーが反応して警報を鳴らし、スマートフォンへ通知します。また、アプリ上で警備開始の操作をしたときにセンサーを設置した窓が開いていると通知が届くため、在宅時の防犯と窓の閉め忘れ防止に効果的です。このサービスは外出時の使用がメインではあるものの、時代の変化に合わせ、在宅中にも使えるよう改良されている点が特徴です。ルフィ事件のような強盗事件のニュースが頻繁に流れるようになった昨今、サービスへの問い合わせが爆発的に増えているそうです。

図表4:株式会社Secual 開閉センサー

株式会社Secual 開閉センサー
窓につける開閉センサーには振動を検知する機能が搭載されている。窓が振動したり割られると警報音が鳴るため、侵入者に犯行を諦めさせる効果が期待できる。普通、このような機能は、開閉センサーに加えて振動検知センサーを付けなければならない。開閉センサーのみで振動検知ができるのは、Secual Homeの特許技術である。

新時代のテクノロジーが日常を守る

防犯対策と聞くと、防犯カメラを思い浮かべる方が多いと思います。防犯カメラは犯罪の抑止になるだけでなく、いざという時の証拠として役立つため、一戸建てでも設置している家が増えています。しかし、カメラを設置すると外構の景観が崩れてしまうというデメリットもあります。せっかくこだわってつくった理想のエクステリアに、ノイズが入ったような感覚を覚える人もいるようです。

そういった悩みを解決するのが、株式会社ナスタと大和ハウス工業株式会社が共同制作した「Next-Dbox+S」です。これは防犯カメラ機能付きインターホンを搭載した一⼾建て住宅向け宅配ボックスで、エクステリアの美観を損ねることなく防犯機能を発揮します。

最大の特徴は24時間365日録画できる業界初の機能で、常時自宅前の録画が可能。また、宅配ボックスを利用すれば対面で荷物を受け取る必要がなくなるため、宅配員をよそおった侵入強盗からも身を守ることができます(図表5)。

図表5:株式会社ナスタ・大和ハウス工業株式会社
共同制作「Next-Dbox+S」

株式会社ナスタ・大和ハウス工業株式会社
セキュリティと利便性を向上させた新しい宅配ボックス。宅配専用ボタンを押すと流れる自動応答メッセージにより、宅配業者と会話することなく荷物を受け取ることができる。

いますぐ無料でできる対策は住民同士のコミュニケーション

さて、ここまでは防犯に役立つサービスや製品を紹介してきましたが、在宅時の防犯への不安がつのる現代に必要なのは、なんといっても住民同士が声をかけ合う雰囲気づくりです。

犯罪者は、とにかく姿を見られることを好みません。住民同士がまわりの家族構成などを把握し、見知らぬ人への警戒心を強めるだけで、犯罪者が侵入できなくなるようなまちづくりが自然と醸成されます。自治会への参加などできっかけを探し、ほんの少しでも、まわりとコミュニケーションを取りましょう。住民同士のコミュニケーションは、大切な人の命を守るために、いますぐ無料でできる防犯対策です。


ライター
川上良樹