47都道府県の主要都市にて開催!
全国一斉不動産無料相談会
公益社団法人 全日本不動産協会は、9月22日から10月8日にかけて、全国47都道府県の主要都市で不動産無料相談会を実施しました。昨年に続き、一般消費者に身近に感じてもらえるよう、駅前広場や市・区役所、ショッピングモール内などの人通りのある場所を厳選してブースを設営。秋空のもと、多くの人々が相談に訪れました。
全国91カ所に相談会場を設置
今年の「全国一斉不動産無料相談会」は、北海道4カ所、東北8カ所、埼玉5カ所、東京22カ所、神奈川5カ所、茨城・栃木・群馬・千葉の4県で8カ所、中部エリア11カ所、近畿9カ所、中国5カ所、四国5カ所、九州・沖縄9カ所と、昨年より7会場多い91の会場で実施しました。
この無料相談事業は、公益事業として不動産知識の普及と安全な取引を推進することを目的に開催しています。また、協会設立日の10月1日を「全日の日」と認定し、その前後に開催することで、多くの一般消費者に身近な相談場所として周知し、利用してもらうことを目指しています。
以前は地方本部単位で無料相談会を開催していましたが、2018年からは国土交通省と各自治体の後援を受け、全国一斉の実施となりました。2020・21年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となりましたが、2022年から感染防止策を講じて再開しました。
無料相談会では、各地方本部に所属する宅地建物取引士に加え、弁護士や税理士、不動産鑑定士、建築士など、不動産取引の実務に携わっている資格者が、それぞれの相談に対応。まずは受付で相談の概要をヒアリングし、内容に合わせて専門家窓口に引き継ぎます。各会場では、居住支援等に関するパンフレットや協会オリジナルグッズなどを配布し、不動産関連情報や協会活動のPRにも取り組みました。
「タワマン節税封じ」の話題など時勢のニュースに関連する相談も
東京都本部の新宿駅西口広場に設置した会場は、世界有数のターミナル駅の構内という立地から、開始前からたくさんの人が会場前を行き交っていました。そんななか、声かけやティッシュ配りで積極的なPR活動を実施。その甲斐あってたくさんの相談者が訪れました。昼過ぎには吉住新宿区長も激励に駆け付け、現場の士気はますます高まりました。
大田区役所会場では、開始時間前から待機する相談者もいました。相談内容は相続に関するものが多く、たとえば60代の女性からは、「田舎にある親の生家を長い間放置していたが、自分も高齢になったためそろそろ処分したい。売却するにはどんなことに注意すればいいのか」といった内容が寄せられました。また40代の女性は「1年ほど前に兄と共同で一軒家を相続したが売却したい。現在兄の息子が住んでいるが、兄ともめないように進めるにはどうしたらいいか」と具体的な方法を相談。これに対して相談員は3つのパターンを提示し、それぞれの注意点まで丁寧に解説しました。
港区役所会場では、「節税のためにタワーマンションを購入したが、来年から節税封じの対策が講じられる。どうしたらいいのか」といったタイムリーな相談が寄せられました。その他、「隣家の物置が自分の土地に建っている」「借地権を持っている土地が再開発地域になった」「借地にホテルを建設したい」「相続登記の方法が知りたい」など相談は多方面に及びました。
また、神奈川県本部の武蔵溝ノ口駅の会場では、「兄弟から1棟アパートを受け継いだが、入居者のなかに賃貸借契約を結んでいない人がいる。このままで大丈夫か」と契約に関する相談もありました。
いずれの会場でも、1時間近く話し込む相談者が多くみられ、相談員たちはその1人ひとりの話に真剣に耳を傾け、親身になってアドバイスを行いました。
限られた時間のなかでベストな解決策を提案
関西地区では、大阪府本部で4会場、滋賀県・京都府・奈良県・和歌山県・兵庫県本部で各1会場の計9会場で開催。
大阪府本部無料相談委員会委員長の大山氏は、「不動産価格の高騰で、空き家や相続に関する税金についての相談が増えている。多くの人が身近な問題として不動産に関する悩みを抱えている現状を、相談をとおして改めて実感した。その解決に向け、少しでもアドバイスできればと思う」と意欲を示しました。
また、大阪あべの新宿ごちそうビル前広場で相談員を担当した、なにわ南支部無料相談委員長の北氏は、「人の移動はコロナ前の状況に近づいている。不動産取引もしかり。相談内容も多種多様。以前のような非対面のオンライン相談ではなく、相談者が足を運んで相談員と対面して話すことで、信頼関係が構築でき、結果、解決策が見つかるのではないか。限られた時間内で相談者にとってベストな解決策を提案したい」と話しました。
他方、滋賀県本部の赤尾副本部長は「コロナ禍で生まれた変化に不動産業界も大きな影響を受け、相談内容も多岐にわたっている。売買や賃貸、空き家に加え、相続や『終活』についての相談も見受けられた。住まいを見直す人が増えてきた感もある。相談会を通じて情報収集し、相談者の悩みを解消するきっかけにしたい」と述べました。