謹んで新春のお慶びを申し上げます


中村 裕昌

公益社団法人 全日本不動産協会
公益社団法人 不動産保証協会
理事長

中村 裕昌

皆様、晴れやかな心持ちでこの令和7年を迎えられたことと存じます。

前年は国民がこぞって新年を寿ぐ、まさにその元日に未曾有の大災害が発生するという生涯忘れ得ない幕開けとなりました。この令和6年能登半島地震により逝去された400名を超える方々に心より哀悼の意を捧げるとともに、長く住み慣れた住居を失われるなど、被災された数多くの方々にあらためてお見舞いを申し上げます。そしてまた、被災者および被災地への支援として、会員皆様をはじめ地方本部等から総額7,700万円もの篤志をお寄せいただいたことに、会を代表して厚く御礼を申し上げます。

かつてバブル黎明期の東京都心部において、マンションになぞらえた“億ション”が登場し、市民より驚きと羨望をもって受けとめられた時代がありました。それが今や、建築コストの高騰もあって億ションならぬ“2億ション”が雨後の筍(うごのたけのこ)の如く誕生しており、しかもその傾向は東京23区に留まらず地方主要都市にも拡がりをみせています。

足元では、日銀による追加利上げ実施の観測が高まるなど「金利ある世界」が漸進するなか、子育て世代を中心としたこの国の未来を担う実需層から、現時の不動産価格が乖離している状況に、甚だ憂いを覚えるところです。目下の物価上昇指数からすれば、賃料の上昇トレンドが後追いすることも大いに想定されるため、住まいのアフォーダビリティをいかに確保すべきかが引き続き大きな政策課題になると考えております。

他方で、地方圏のみならず三大都市圏であっても、利用目的のない空き家が増加している実情もあります。ご存知のとおり、我が全日本不動産協会は、一つの法人でありながら全国47都道府県に拠点を持つ、文字どおり“オールジャパン”の組織です。この強みを最大限に生かして、どなたでも、全国どこからでも、たとえ居住地から離れた物件であっても、空き家の処遇についてよろずの相談ができる『全日ラビー空き家相談ネットワーク』を立ち上げ、令和7年度から運用を開始すべく鋭意取組みを進めているところです。

さて、会員の皆様には度々ご報告を差し上げて参りましたが、本年4月より、いよいよ2025大阪・関西万博が開幕します。本会は『大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn』のスペシャルパートナーとして、未来のまちづくりやウェルビーイングな住まいのあり方、そして少子高齢化社会において共助・共生の意識に根差した「みんな暮らし」の温かい地域社会を築くために、我々宅地建物取引業者が果たすべき役割など、未来社会の礎となるような公益性の高い研究成果を披露すべく取り組んでおります。

安寧で豊かな住生活を通じて、全ての人が幸せを享受できる地域コミュニティを形成するため、今や3万7,000有余となった全国の会員皆様とともに力を尽くして参る所存です。本年も変わらぬご支援とご高配を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

結びに、皆様にとりまして、本年も実り多き素晴らしい一年となりますこと、そして皆様のご健勝と益々のご発展を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。