大阪・関西万博の歩き方③
「世界のパビリオンと未来体験」編

世界の国々や地域、企業が趣向を凝らし、未来社会をデザインする大阪・関西万博。
日を追うごとにSNSなどで評判が広がり、開幕からおよそ1カ月半で来場者数500万人を超えました。
異国情緒あふれる会場内では、「規模も内容も想像以上」「世界がここにギュッと集まっているみたい」といった声があちこちから聞こえてきます。
今回は、ちょうど折り返し地点に差し掛かった万博の魅力を厳選レポートします。
▶︎話題の展示pick up
1.高さ約20m、周長約2kmの「大屋根リング」
世界最大の木造建築物としてギネス世界記録Ⓡに認定された万博のシンボル。京都・清水寺の舞台と同じ「貫(ぬき)工法」を用いて建築され、会場のデザインコンセプト「多様でありながら、ひとつ」を体現しています。各国のパビリオンを上から眺めると、地上で見るのとはまた違った表情を楽しめます。

2.未来を駆ける「空飛ぶクルマ」
開幕前から熱視線を集めた空飛ぶクルマは、今後もデモ飛行を計画中です。「空飛ぶクルマステーション」も大人気で、予約をすれば実物大のモックアップに座っての写真撮影や、臨場感あふれる没入体験ができます。


3.日米中が「宇宙のかけら」で共演
1970年の大阪万博で大きな話題を呼んだ「月の石」が、今万博でもアメリカパビリオンに登場。展示されているのは、1972年のアポロ17号によるミッションで採取した月のサンプルの一部で、’70年万博からこれまでの継続的な日米の取り組みに感謝を示したものです。
一方、中国パビリオンでは、2024年6月に無人探査機嫦娥(じょうが)6号が世界で初めて採取した「月の向こう側の砂」を展示。地球からは見ることのできない月の裏側の神秘に迫ります。
そして日本館に展示されているのは、2000年11月に南極地域観測隊が発見したラグビーボール大の「火星の石」。重さは約12.7kgあり、火星隕石としては世界最大級です。



4.拍動する「iPS心臓」
赤い培養液の中で拍動しているのは、直径3cmほどのiPS心臓立体モデル。全身のさまざまな細胞に分化する性質をもつiPS細胞から作られたもので、実際に拍動する様子を展示したのは世界初。現状、内部は空洞ですが、いつか本物に限りなく近い心臓が完成する日も、そう遠くない未来のように思えます。パソナネイチャーバースにて展示中。

5.番外編 「スマートフォン」
予約にチケット、食事に買い物、写真、地図……今回の万博でなくてはならないモノといえば「スマホ」。’70年の大阪万博で披露された未来の電話「ワイヤレステレフォン」が、55年の歳月を経てここまで進化するとは、感慨もひとしおです。
▶︎いま、ここから世界を変えよう
当会が義援金等で支援する国内外の被災地も、パビリオンやブースを設置して被災地の“いま”を伝えています。
ウクライナブース (コモンズ-C館)
「NOT FOR SALE(非売品)」が意味するものは?
一見、おしゃれなショップのようなウクライナブース。陳列棚には地球儀やおもちゃ、メガホンなどのオブジェが並んでいますが、どれも「非売品」です。入口で渡されるスマホ画面付きのバーコードリーダーで各展示品のタグをスキャンすると、“私たちの知らない”ウクライナの現状が画面に映し出されます。
映像に描かれているのは、大人・子ども関係なく、全国民が当事者として戦い、支えあうウクライナの人々。その根底には“周りが幸せでなければ自分も幸せではない”という国民性があるのだといいます。
戦禍の地から投げかけられた「NOTFOR SALE」のメッセージの意味は、一つひとつの映像の中に込められています。

夜の地球 Earth at Night
輪島から世界へ、願いを地球儀にのせて
この一風変わったパビリオン名は、展示品のひとつである輪島塗大型地球儀「夜の地球 Earth at Night」の名をそのまま冠したもの。地球儀は直径1mにも及び、37人の職人たちが5年をかけて制作。2022年3月に完成し、石川県輪島漆芸美術館に展示されていました。
ところが、2024年元日に能登半島地震が発生。地震から4日ほど経ったころ、ようやく職員が駆け付けてみると、建物は崩れていましたが、地球儀はクルリと回って北半球と南半球がさかさまになった状態で、無傷で発見されたそうです。以降、夜の地球は復興のシンボルとなりました。
また、夜は国境も見えないことから、「対立や分断を超え、他者に想いを巡らそう」という願いも込められています。


▶︎現地で聞いた「行ってよかった」パビリオン
アメリカパビリオン
未来に向けて、世界が共にできることを想像しよう
これは本当に建物なのだろうか? 巨大な2面のスクリーンにはさまれて、キューブが浮いています。「月の石」が話題の当パビリオンですが、実際に体験した人は「宇宙探査をしているみたい」「ロケット打ち上げの臨場感にワクワクした」と、アトラクションのような展示に圧倒された様子でした。実は、このロケット打ち上げの疑似体験はキューブの中で起きている出来事。パビリオン内にはほかに4つのエリアがあり、つながり、旅、宇宙などをテーマにした没入型体験が繰り広げられます。
宇宙へのあくなき探求は、‘69年に月面着陸を果たしたアポロ計画から月での長期滞在を目指すアルテミス計画へと継承され、世代や世界をつないで現在進行中。体験者は、その壮大な計画に足を踏み入れることになるのかもしれません。


PASONA NATUREVERSE(パソナネイチャーバース)
いのちを巡る螺旋(らせん)の冒険
約4憶年前に誕生した「アンモナイト」型のパビリオン。その先端に座る鉄腕アトムが指さす先には、パソナグループが地方創生を手掛ける淡路島があります。
館内をナビゲートしてくれるのは、宇宙空間で大破した鉄腕アトムがブラック・ジャックの施術により再生した「ネオアトム」。体内ではiPS心臓が鼓動しています。
ここで体験するのは、先進技術により進化を遂げた未来の医療、眠り、ロボットなど。また一方では、微生物が住む土の中の世界といった、生命の起源を想起させるエリアもあり、まるで時空を超えて、いのちの螺旋を冒険しているかのような感覚におちいります。



大阪ヘルスケアパビリオン
生まれ変わった自分に出会う!? リボーン体験ルート
夢洲駅を出て東口ゲートをくぐり、大屋根リングの方向へ歩いていくと右手に現れる巨大な鳥の巣「大阪ヘルスケアパビリオン」。絶好のロケーションも追い風となり、毎日2万人以上が来場する盛況ぶりです。
人気は「リボーン体験ルート」(予約制)。ここではまず、カラダ測定ポッドで髪や肌などの7項目から現在のカラダ測定年齢を測定しますが、その結果「実年齢より2歳若い」という人もいれば「8歳も上!」とショックを受ける人もいるので、心を強く持ちましょう。次に測定結果をもとに生成された25年後の自分のアバターと対面し、栄養や身体に関するミライのヘルスケアを体験できるブースを巡ります。
そしていよいよ、全日ブースのあるミライの都市エリアに入ると、3Dの「ミラビー」が笑顔で迎えてくれます。ミラビーは、2050年の「みんな暮らしの街」で活躍中のプロ宅建士(詳細は2025年3月号p10.11参照)。全日ブースを訪れた修学旅行生たちは、ミラビーの話に耳を傾けながら、25年後の都市の姿を興味深げに見入っていました。
最後は、リボーン体験で元気になったアバターたちがみんなで踊り、測定結果にショックを受けた人もひと安心。笑顔で“新しい自分”を歩き出しました。
大阪ヘルスケアパビリオンでは、ほかにも注目の展示や体験が目白押しです。じっくり回ってさまざまな未来を体験しましょう!
ぜひ足を止めて、ミラビーと一緒に写真を撮って楽しんで!
全日ブースの展示は、2021年に構想がスタートし、たくさんの方のアイデアや視点が加わって実現したものです。制作段階では大きなトラブルに見舞われ「もう間に合わないのでは」と思ったこともありましたが、こうして無事に公開でき、たくさんの方に見ていただけてほっとしています。
ひとり暮らしが増えるなか、「共助の暮らし」の大切さを感じてもらえたらうれしいです。

リボーン体験予約はこちら: https://2025osaka-pavilion.jp/guide/official-app/


‘70年万博のレガシー「人間洗濯機」が想いをつないで登場!
55年前の万博で話題を呼んだ、超音波で身体を洗う「人間洗濯機」が、ミラブルテクノロジーで「カラダだけでなく、ココロも自動で洗浄」をコンセプトに進化し、大阪ヘルスケアパビリオンに登場。
こちらの「ミライ人間洗濯機」は、カプセルに身をゆだねるだけで2種類の気泡が全身を洗浄。さらに背中のセンサーが心拍を測定し、測定値に基づいた映像と音楽で気分をリフレッシュさせてくれます。
実際に入浴体験ができるとあって、来場者は「年をとって1人で入浴できなくなったときのために、必ず社会実装してほしい」と期待に胸を膨らませていました。

予約不要! 大阪へルスケアパビリオンで未来の食に舌鼓
大阪産(もん)やミシュラン三つ星シェフ監修のフードなど、ミライの食と文化のゾーンでは、多様性に満ちた未来の食事やスイーツ、パフォーマンスが、予約なしで気軽に楽しめます。

万博限定、片手で食べられるお弁当。栄養も満足度も妥協なし。提供:ほっかほっか亭 MADE by HURXLEY

ひと串12cmで食べ応え抜群! とろけるヴィーガンチーズと蒟蒻ミートのヘルシー串カツ。提供:六甲バター株式会社














