公益社団法人 全日本不動産協会は、9月20日から10月19日にかけて、全国47都道府県の主要都市97会場で、不動産無料相談会を実施しました。一般の方々に気軽に立ち寄っていただけるよう、駅前広場や市・区役所、商業施設のイベントスペースなどにブースを設営。秋空のもと、多くの相談者が訪れました。
全国97カ所に相談会場を設置
今年の「全国一斉不動産無料相談会」は、北海道6カ所、東北8カ所、埼玉5カ所、東京21カ所、神奈川5カ所、茨城・栃木・群馬・千葉の4県で8カ所、中部エリア11カ所、近畿11カ所、中国5カ所、四国8カ所、九州・沖縄9カ所と、97会場で実施しました。
この無料相談事業は、公益事業として不動産知識の普及と安全な取引を推進することを目的に開催しています。協会設立日の10月1日を「全日の日」とし、その前後に開催することで、組織拡充および会員支援につなげるとともに、一般消費者に身近な相談場所として認知してもらうことを目指しています。
本年9月4日に開催された全国不動産会議大阪府大会では、当無料相談会をテーマとした吉本新喜劇による舞台「無料相談をきっかけに空き家に笑いの福きたる!」が公演され、一般観覧者へ有意義なPRとなりました。
この無料相談会は、2018年から国土交通省と各自治体の後援を受けて全国一斉に実施。回を重ねるごとに認知度も高まっています。各会場では、地方本部に所属する宅地建物取引士に加え、弁護士や税理士、不動産鑑定士、建築士など、不動産取引の実務に携わっている資格者が、それぞれの相談に対応しました。まずは受付で相談の概要をヒアリングし、内容に合わせて専門家窓口に引き継ぎます。各会場では、協会オリジナルグッズなどを配布し、協会活動のPRにも取り組みました。

空き家の売却、遺産分割、建て替え、相場etc.
不動産実務に携わる資格者たちが親身に対応
埼玉県本部のさいたま市役所会場は、あいにくの雨天にもかかわらず、朝から資料を持参したご夫婦が来訪。「空き家になった親の実家を売却する場合、更地にしたほうがいいのか、現況のまま売ったほうがいいのか」と1時間以上腰を据えて熱心に相談されました。相談員は資料を見ながら丁寧にヒアリングし、このケースの場合では、経費をかけずに現況のまま売ることを提案しました。その他、浦和市の土地の相場観など、人気エリアならではの相談も目立ちました。
大宮会場では、「兄弟3人で相続した不動産の売却を考えているが、早く売りたい自分と高く売りたい兄、慎重に進めたい弟……と、3人のなかで温度差がある。接道条件に問題があるため建て替えに制限もあり、なかなか話が進まない。どうしたらいいものか」という50代の女性や、「資産価値が見込める住宅に親がひとりで住んでいるが、相続対策は何から始めればいいのか」、「相続した不動産の登記について教えてほしい」など、相続に関する相談が多く寄せられました。対応した相談員は、「この相談会のいいところは、話が自分の管轄外に及んだ場合、隣の宅建士や税理士につなぐことができる点。一気に解決できるので相談者も来たかいがあると思う」と話しました。
ところ変わって、東京都本部の日本橋プラザ南広場に設置した会場では、晴れ渡った秋空のもと、開始直後から続々と相談者が訪れました。内容は、「都内に木造建築を所有しているが、これを建て直す際の接道条件や建築条件について具体的に教えてほしい」といったものから、「親が元気なうちに相続税の節税対策について知っておきたい」、「家族で共有する空き家の処分について、どのような方法が考えられるか」といった相談が寄せられました。中央支部の山口支部長は、「ここはもともと人通りが多く、毎年50人ほどの相談者が足を運んでくれます。区の広報誌でPRも行っているので、寄せられる相談内容も幅広い。すべての相談にできるだけ具体的なアドバイスができるよう心掛けています」と語りました。
いずれの会場でも、相談員たちは、相談者がおかれた状況や要望をしっかりと聴いたうえで、親身にアドバイスを行いました。
相談者からは「手続きの道筋が見えた」との声。
相談員側は地方の不動産課題を知るよい機会に
関西地区では、大阪府本部で6会場、滋賀県・京都府・奈良県・和歌山県・兵庫県本部で各1会場の計11会場で開催。
大阪府本部では空き家の管理や利活用、売却方法に関する相談が多く寄せられたほか、相続に伴う登記や遺産分割の注意点について専門家に確認する来場者も目立ちました。相談員は1件ずつ丁寧に助言を行い、来場者からは「手続きの道筋が見えた」との声もありました。
一方、和歌山県本部は和歌山県JAビルで開催され、相続財産の整理や登記手続きに関する相談に加え、長期間使われずに放置された農地の管理や今後の扱いについての悩みも寄せられました。地域の実情に即した助言が行われ、「不安が軽減した」との声もあり、地方特有の不動産課題を把握する機会となりました。





















◆令和7年度 全国一斉不動産無料相談会 実施会場一覧
※後援は会場により異なります。


