宅建士講座
2026.10.14
宅建士試験合格のコツ

Vol.82 権利関係
~借地借家法(借地)~


本試験において、借地借家法からは、毎年、借地と借家それぞれにつき1問ずつ出題されています。今回は、借地について過去3年間の本試験で出題されていない論点を紹介しようと思います。過去3年間出題されていない論点は、今年の本試験で出題される可能性が高いと考えられるからです。

❶借地権の譲渡・転貸

(1)借地権が地上権の場合

地上権を有する借地権者は、自由に譲渡・賃貸ができます。

(2)借地権が賃借権の場合

賃借権を有する借地権者は、譲渡・転貸につき、土地の所有者の承諾が必要であり、無断譲渡・転貸は、賃貸借契約の解除事由となります。

しかし、賃貸人が承諾しない場合には、次のような救済策が用意されています。

3つの状況の違いのポイント

<ポイント>

①は、これから建物を譲渡しようとする場合であるのに対し、②は、すでに譲渡してしまった場合です。③は、すでに譲渡された場合ですが、その手段が競売という特殊な方法によるケースです。この3つの状況の違いを押さえるのがポイント。

❷借地権と裁判所

(1)借地条件変更の裁判

法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により、現に借地権を設定するとすれば、その借地条件と異なる建物所有を目的とするのが相当である場合は、借地条件変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は当事者の申立てにより、借地条件を変更することができます。

(2)増改築についての許可

無断増改築禁止特約がある場合、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき、当事者間に協議が調わないときは、裁判所は借地権者の申立てにより、土地所有者または賃貸人の承諾に代わる許可を与えることができます。

(3)借地契約更新後の建物再築の許可

更新後、残存期間を超える建物の築造について、やむを得ない事情があるのに、承諾を得られないとき、借地権者の申立てにより、裁判所は、承諾に代わる許可を与えることができます。

❸借地権の対抗力

次の場合、借地権者は新たな土地の所有者等の第三者に対して、自己の借地権を対抗することができます。

  • ① 地上権または土地の賃借権の登記があるとき
  • ② 借地上の建物に登記があるとき(ただし、借地権者本人名義の登記に限る)
  • ③ 建物が滅失した場合、借地権者が、これまで建っていた建物を特定するために必要な事項等一定の掲示を、土地の見やすい場所にしたときには、建物滅失の日から2年間に限り、借地権の対抗力が持続する
自己の借地権を対抗する

<補足>

③の対抗力は、建物滅失以前に、建物の登記がされていることが条件。また、建物滅失後2年以内に建物を再築して登記まで済ませないと、掲示によって認められた対抗力はさかのぼって失われます。

問題を解いてみよう!

  • 【Q1】 Bは、A所有地を賃借し、木造家屋を所有して居住している。Bが家屋をCに譲渡してもAに不利となるおそれがないときは、Cは、Bから家屋を譲り受ける契約をした後、裁判所に対し、土地賃借権の譲渡についてのAの承諾に代わる許可を申し立てることができる。(H9・問11)

  • 【Q2】 借地権者が登記ある建物を火災で滅失したとしても、建物が滅失した日から2年以内に新たな建物を築造すれば、2年を経過した後においても、これをもって借地権を第三者に対抗することができる。(R2・問11)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解説>

Answer1
×

【解説】承諾に代わる許可は、これから家屋を譲渡しようとするときに、譲渡人Bから申し立てなければなりません。譲渡契約後に譲受人から申し立てるのではありません。

Answer2
×

【解説】滅失から2年経過した後も対抗力を維持するためには、建物を特定するために必要な事項等を土地上に掲示する必要がありますし、2年以内に建物を再築した上でその登記をする必要もあります。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を35年以上務める。著書に『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2025』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。