コロナに負けない!緊急インタビュー
業界全体で一致団結し、この難局を乗り切る
令和2年の幕開けとともに不動産関連法が改正・施行され、不動産業へのニーズが高まっているなか、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)拡大が、わが国の社会経済全体に大きな影響を与えています。コロナ禍、そして“ウィズコロナ”における不動産事業者の取組み、そして当協会の活動について、原嶋和利理事長にお伺いしました。
公益社団法人 全日本不動産協会
公益社団法人 不動産保証協会
理事長
原嶋 和利
―コロナ拡大の影響が、協会活動にも及んでいます。
まずは、コロナによりお亡くなりになられた方々に、謹んで哀悼の意を表するとともに、日々現場で対応されている医療従事者の皆様に感謝申し上げます。
今年10月に予定していた第56回全国不動産会議栃木県大会については、参加者のリスク回避を第一に勘案し、中止を決議いたしました。開催に向けて尽力された関係各位のことを考えると、大会中止は断腸の思いですが、今後コロナ対策が進み、安全・安心な形で次回の佐賀県大会が開催されることを祈念しております。
―コロナ終息の見通しが立たない中、先が見えない不安が高まっています。全日会員が今すべきことは何でしょうか。
緊急事態宣言による外出自粛やそれに伴う経済活動の低迷などによって、不動産仲介・売買を問わず、売上減少や事業縮小などの影響を受けていますが、まずは国による支援策を活用してほしいと思います。事業縮小やそれに伴う従業員の休業対応を行った場合の雇用調整助成金制度(10月以降も増額特例措置の延長も検討中)に加え、売上減少には持続化給付金制度、地代・家賃の負担の軽減には家賃支援給付金制度、また自治体による営業自粛協力金制度も利用できます。この難局を一致団結して乗り越えられるよう、協会としてもできる限りサポートしていく考えです。
また、不動産業界は、店舗やモデルルーム、内見など、お客様と対面する場面が多くあります。不動産業界におけるコロナ感染予防対策ガイドラインでは、従業員やお客様への感染リスクを防ぐため、「3つの密」を回避する体制の整備方法や勤務形態、万が一感染が確認された場合の対処方法などが示されていますので、このガイドラインを順守しながら安全・安心な業務を行っていただき、 “ウィズコロナ”への体制を整えてほしいと思います。
―今年は民法や土地基本法改正など、不動産業界を取り巻く環境が大きく変化し、不動産業者の役割がますます重要になってきています。協会としての取組みを教えてください。
空家・所有者不明土地問題については、令和2年度税制改正大綱において、かねてより要望していた小規模・低額物件の長期譲渡所得の100万円特別控除が認められ、今後の低未利用地の活用促進が期待されています。本会でも、昨年6月の「全日中期ビジョン」で策定した短中期的アクションプランに基づき、今年4月に「全日みらい研究所」を設立し、「全日空家計画データベース」を公開しました。各自治体の空家計画や施策をデータベース化し、都道府県・キーワードで検索できるようになっていますので、空地・空家・所有者不明土地の最適活用に向けて、ぜひ業務に活用していただきたいと思います。
また懸案だった銀行の不動産仲介業務参入等については、業界挙げて規制緩和阻止に動いた結果、自民党経済成長戦略本部と金融調査会の原案から削除されました。地域活性化の担い手である地場不動産事業者の事業基盤を守り、支援していくことは本会の重要な役割の1つです。今後もこれら動向を注視しながら、積極的に政策提案・要望を行っていきます。
コロナによって、テレワークや非対面営業など事業者側の対応に加え、一般消費者の“住まい”に対する認識・ニーズも変わり始めるなど、不動産業界全体が変革を余儀なくされています。経済的・精神的にも厳しい状況下ですが、これを好機と捉え、コロナとの共生時代を見据えて一致団結して取り組んで参りましょう。