宅建士講座
2021.05.14
宅建士試験合格のコツ

Vol.26 宅建業法
~宅建業の意味~


宅建業法は、宅建業(宅地建物取引業)を規制する法律です。したがって、宅建業の意味は、宅建業法全体にかかわってきますので、これを正確に理解することは、宅建業法の学習をする出発点として不可欠な行為といえます。本試験においても、宅建業の意味に関連する問題が、ほぼ毎年出題されています。

宅建業

(1)宅建業法上の「宅地」とは

事例の図

具体的な問題を解くときは、上記の順に検討していきましょう。①に当たればすべて「宅地」であり、②以下を検討する必要はありません。①に当たらなくても、②に当たればこれまたすべて「宅地」であり、③を検討する必要はありません。

用途地域内の例外のゴロ合わせ

(2)取引とは

事例の図
○=取引に当たるもの ×=取引に当たらないもの

(3)業とは

事例の図

(4)免許の必要性

宅地建物取引業を行う者は、宅地建物取引業の免許が必要となります。

事例の図

①…農家Aが農地を宅地造成した上で、区画割りをしたとしても、これを一括して宅建業者に売却する行為は、1回限りであり、「業」に当たらず、免許不要。

事例の図

②…①と同じく、農家Aが農地を宅地造成した上で区画割りをした後、一括して宅地分譲の代理・媒介を宅建業者Bに依頼した場合は、免許が必要となる。代理・媒介の依頼自体は1回限りだが、代理権をBに授与して売買契約を繰り返して行うことは、Aに効果が及ぶことになり、「業」に当たるからである。なお、Bは、代理または媒介して宅地の売買を反復継続して行っているため、当然、免許が必要である。

(5)宅地建物取引業者

宅地建物取引業者免許を受けて宅地建物取引業を営む者をいう
※免許失効後でも、進行中の取引を結了する目的の範囲内で業者とみなされる
みなし業者信託会社、信託業務を兼営する金融機関
・宅建業の免許は不要だが、国土交通大臣に届出をすることにより、国土交通大臣の免許を受けた宅建業者とみなされる。
国・地方公共団体等宅建業法の規定の適用はない

•みなし業者には、免許に関する規定を除いて宅建業法の適用がある。

(6)事務所

事務所本店(主たる事務所)および支店(従たる事務所)
継続的に業務を行うことができる施設を有する場所(営業所等)で、宅建業に係る契約締結権限を有する使用人を置くもの

問題を解いてみよう!

論点の確認と
知識の定着を
  • 【Q1】都市計画法に規定する用途地域外の土地で、倉庫の用に供されているものは、宅地建物取引業法第2条第1号に規定する宅地に該当しない。 (H27年 問26)
  • 【Q2】信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合には、国土交通大臣の免許を受けなければならない。 (R2年 問26)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解き方>

Answer1
×

【解説】用途地域外の土地であっても、倉庫は建物である。建物の敷地に供されている土地である以上、宅建業法上の「宅地」に該当する。

Answer2
×

【解説】信託会社は、宅建業を営む場合でも、国土交通大臣に届出をするだけでよく、宅建業の免許を受ける必要はない。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。