Member’s SDGsアクション
目標設定すれば課題が見え課題追求すれば必要企業になる
安心と信頼を得て初めて任意売却は人を救う手だてに
土地・建物売買仲介業や土地・建物再販業、大家業のほか、任意売却のスペシャリストとして、岡山・倉敷エリアを中心に、住宅ローン支払いの返済や滞納についての相談(年間約100件)を請け負うオハナ不動産。不動産取引で人を困窮から救う同社の取り組みは、2019年に外務省からSDGs推進企業として認定されています。「不動産が持つチカラでお客様の幸せづくりに関与したい」。そう話す代表・山部真一氏に、SDGsに取り組んだ経緯やメリットなどを聞きました。
―SDGsに取り組もうと思ったきっかけはなんでしたか。
3年ほど前に、会社経営を勉強する会で、知人の先輩経営者から教えてもらったことがきっかけでした。当時は、いまほどSDGsの認知度は高くありませんでしたから、何気なく話を聞いていたのですが、すぐに興味がわいてきて…。環境問題をはじめ、さまざまな目標がシンプルな言葉でわかりやすく示されていることもあり、話を聞きながら「もし会社に取り入れるなら何番の目標がいいだろう」「取り組むことで社会にどんな貢献ができるのだろう」と、いろいろな考えが頭の中を駆け巡りました。そこで至った答えが「1 貧困をなくそう」「3 すべての人に健康と福祉を」「11 住み続けられるまちづくりを」の3つの目標だったのです。
―不動産業を通してその3つの目標を達成するということですか。
はい。厳密にいえば当社の強みである任意売却でお客様の幸せづくりに関与したいというのが本心です。ご存じのように、任意売却は、銀行などの金融機関から住宅ローンなどの融資を受けている債務者が、その金融機関との合意に基づいて、融資の返済が困難になったマイホームやマンションなどの不動産を処分(売却)する手続きです。本来であれば、住宅ローンを完済した後でなければ抵当権などは解除できず、不動産の売却はできませんが、その解除を金融機関との話し合いによって認めてもらい、任意売却をすることで、一般の流通市場で物件を売却できるようになります。取り組み方次第では、賃貸としてその物件を借りることができ、住み続けることもできるのです。
2010年代後半、東京五輪開催の決定で好景気に沸いている時期もありましたが、それは都市部のしかも一部の大手企業の話。一般社会の経済状況はそれほど良くなってはいません。さらに近年は、コロナウイルス感染拡大によって失業者は増える一方で、住宅ローンを支払えない人が激増しています。
―比例して相談件数も増えていると。
はい。現在はコロナウイルスの件もあって、支払いを1年くらい待ってもらうことはできます。金融機関も金融庁からそのような猶予を出すよう通達も出ているようなので、しばらくは金利のみの支払いで問題のない時期は続くと思います。ただ、怖いのはコロナの収束がある程度見えたときです。昨年の緊急事態宣言解除後の夏の時期は、問い合わせの電話が殺到しました。相談する方のほとんどは、自分がいまどの段階にいるか把握していないものですから、話を聞きながら「まだ大丈夫です」「このままいったら競売になってしまいます」など、助言しながら対応していました。いまは住宅ローンの支払いで困っている相談者さん以外にも弁護士さんや地方銀行さん、信用金庫さんなどの金融機関さんからの相談も増えています。やはり、住宅ローンを貸している側も、昨今の状況を理解しているので、当社が介入してスムーズに今後の計画を考え、お互いに話し合って実行していきたいと考えているようです。貸している立場の人であれば、期限が過ぎても返済がなければ、「返してください」としか言えないと言っていました。
―さまざまな方面の人から相談を受けていますね。
任意売却に関しては10年近く相談窓口を行っているからだと思います。地元の商工会議所などのホールを借りて、住宅ローンの支払いで困っている方を対象にした相談会やセミナーなどを定期的に開催していたので、困っている相談者さん以外にも弁護士さんや金融機関さんなどの人たちと出会う機会も自然と増えていきました。また、任意売却に関する書籍を3冊出版させていただいていますので、その影響もあるかもしれません。それに、任意売却は多くの労力を必要とする業務ということもあり、専門で行っている人が少ないことも関係しているかもしれません。
―精力的な活動が評価され、2019年にはSDGs推進企業に認定されていますね。その前後で何か変化は感じましたか。
問い合わせの際、当社のホームページを見たお客様が、私たちに安心感や信頼を寄せてくれているということを肌で感じます。最近は、SDGsの風潮も高まっていますからなおさら感じることが多いです。また、SDGsの目標は、シンプルなアイコンで企業カラーを伝えることができるので、その点もメリットだと思います。知り合いの不動産事業者の方にも「ぜひ、やってみてください!」と勧めています。
―今後、SDGsの目標設定を増やしていくビジョンはお持ちですか。
いいえ。今は3つの目標を達成し、目的を追求できるように取り組んでいきたいと思っております。地元地域に必要とされる企業を目指すことによって、会社も永続し、我々も満足いく仕事ができ、達成感に満たされます。不動産事業者が言うことではないかもしれませんが、お金を稼いで、立派な住居に住み、裕福な暮らしを送ることだけが、最終的な幸せだとは思いません。やりがいや社会に貢献している達成感を得たときも、幸福感を得ることはできます。それを示す道標としてSDGsがあるのです。これから生まれてくる子どもたち、まだ若い人たちにとって、新たな目標設定を立てるうえでSDGsの17の目標は非常に役立つと思います。高学歴や高収入をゴールとするだけではなく、社会に貢献できること、やりがいを持って達成感を感じられるものをゴールにする。それを探す手段としてSDGsは活用できると思います。
株式会社オハナ不動産
岡山県倉敷市白楽町249-5倉敷商工会館 5階
TEL:086-435-0010
FAX:086-435-0011
営業時間:9:00~18:00
定休日:水曜、祝日
株式会社オハナ不動産の主な取り組み
救済、経済的困窮からの脱却
不安定な経済や雇用、不慮の事故や病気、また、昨今では離婚も理由として、住宅ローンの返済が困難となる方が多くいます。当社では、「任意売却」を通じて困難となった住宅ローンの返済を停止、市場価格に近い価格での売却を実現することで、経済的困窮や貧困を未然に防いでいます。
安心して住める住居の提供
安心して日常生活を送るには、「衣食住」の3要素は欠かせないもの。しかし住宅ローンの返済が困難となった方は、そのうちの1つ「住」が欠けてしまいます。当社では、そうした方々に対して敷金礼金が不要で、賃料も安く設定した賃貸物件を提供。「住」の不安をなくし、生活再建の支援を行っています。
住みよいまちづくりへの取組
無理な住宅ローン返済計画を組む必要なく、住まいを手に入れていただけるよう、中古住宅の再販にも力を入れています。長く住むことで地域住民同士の交流が生まれるほか、昨今、取り上げられている「空き家問題」も解決でき、景観や治安が保たれるという観点からも、住みよいまちづくりに貢献しています。