宅建士講座
2021.08.13
宅建士試験合格のコツ

Vol.29 宅建業法
~媒介契約の規制~


過去10年間の本試験において、媒介契約の規制に関する問題は12問出題されています。毎年少なくとも1問は出題されており、2問出題された年が2度あったということです。毎年必ず出題される項目ですから、出題ポイントをしっかりと押さえておくべきです。

媒介契約

1. 媒介契約の種類

媒介契約の種類

2. 媒介契約の書面化

宅建業者は、売買・交換の媒介契約(貸借の媒介契約は含まれていない)が成立したら、遅滞なく、その内容を書面化し、宅建業者(宅建士ではない)の記名押印をしたうえで、依頼者に交付しなければなりません。

媒介契約書面には、次の事項を記載しなければなりません。

①宅地建物を特定するために必要な表示(所在、地番、面積等)
②宅地建物を売買すべき価額または交換の場合の評価額
③媒介契約の種類(一般・専任などの区別)
④当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
⑤媒介契約の有効期間および解除に関する事項
⑥報酬に関する事項(報酬額、消費税、支払時期等)
⑦契約違反をしたときの措置(専任媒介なのに他の業者に依頼した場合等)
⑧媒介契約が国土交通大臣の定める標準媒介契約約款に基づくか否かの別
⑨指定流通機構への登録に関する事項

ポイント

②の売買価額・交換評価額について業者が意見を述べるときは、必ずその根拠(書面による必要はない)を示さなければならない。

3. 専任媒介契約特有の規制

専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)には、以下の特有の規制が課されており、これらの制限に反する特約をしても、無効とされます。

専任媒介契約特有の規制

ポイント

①業務報告を書面で行う必要はない。
②契約の相手方の探索方法における「7日」「5日」の日数に当該業者の休業日は含まない。
③依頼者からの申出がある場合に限り、有効期間の更新をすることができる(自動更新の定めは無効)。更新後の期間も3カ月以内でなければならない。
④指定流通機構に登録した業者は、登録証を遅滞なく依頼者に引き渡し、その物件の契約が成立したときは、遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければならない。

過去問を解いてみよう!

論点の確認と
知識の定着を
  • 【Q1】宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲住宅の売却に係る媒介の依頼を受けて、一般媒介契約を締結した場合において、甲住宅の価額について意見を述べるときは、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。(R2 問38)
  • 【Q2】宅地建物取引業者Aは、Eから宅地の売却について依頼を受け、専属専任媒介契約を締結したときは、当該宅地について宅地建物取引業法に規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め5日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。(H28 問41)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解き方>

Answer1
×

【解説】売買価額について意見を述べるときは、必ずその根拠を示さなければならないが、その方法は口頭によるものでもよい。

Answer2
×

【解説】専属専任媒介契約の場合、契約締結日から5日以内に当該物件を指定流通機構に登録する必要があるが、「5日」の日数に休業日は含まれない。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。