管理組合、行政の役割を明文化
「管理計画」制度の認定基準示す
国交省 マンション管理の基本方針を策定


2020年6月に成立、公布された改正マンション管理適正化法を踏まえた対応が進む。国土交通省は9月28日、「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」および「長期修繕計画および修繕積立金に関するガイドラインの見直し」を公表した。22年4月から新たに開始される「マンション管理計画認定制度」にも対応する。

「基本的な方針」では、都市部を中心に重要な居住形態となっている一方、維持管理に多くの課題を抱えるマンションの適正な管理に向けて、管理組合による適正な管理と、管理状況等を踏まえた行政の施策の必要性を示した。マンション管理の適正化に関する目標設定や啓発・知識普及に関する事項など7点を明記。例えば、基本的事項として、管理組合、国、地方公共団体、マンション管理士、マンション管理業者等の関係者についてそれぞれの役割を記載すると共に、相互に連携して取り組む必要性などを記載した。また、建設後相当の期間が経過したマンションについて、修繕や建替え等を含め、どのような措置をとるべきか区分所有者と調整して合意形成を図ることが重要であることを盛り込んだ。

更に、マンション管理適正化指針に関する事項として、管理組合および区分所有者等が留意すべき事項等を記すと共に、地方公共団体が助言・指導・勧告を行う判断基準の目安を記載。管理者等から管理計画の提出を受けた地方公共団体が認定する「マンション管理計画認定制度」については、認定基準の目安として(1)長期修繕計画の計画期間が一定期間以上あること、(2)長期修繕計画に基づいた修繕積立金の設定、(3)総会を定期的に開催――などを記した。管理計画認定により、市場評価、管理意識の向上、管理の適正化という好循環をつくり、マンションの売却・購入予定者だけでなく、区分所有者や居住者にとってもメリットを生み出していく狙いだ。

このほか、管理計画認定制度に関しては、マンション管理センターが導入するオンラインの管理計画認定手続支援サービスにより、認定申請を行う管理組合と認定審査を行う地方公共団体の双方の負担軽減を図ることを検討。また、同認定制度は管理組合が存在する既存マンションを対象としているが、適切な管理が期待される新築マンションを対象とした仕組み(予備認定)の導入も検討する。

長期修繕計画、修繕積立金ガイドラインの見直しも

国交省がこのほど見直し、改訂した「長期修繕計画標準様式および修繕積立金に関するガイドライン」は、「マンション管理計画認定制度」の認定基準としても用いられる予定だ。まず08年6月に策定された「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドラインおよび同コメント」については、現行では25年以上としていた既存マンションの長期修繕計画を、新築マンションと同様、「2回の大規模修繕工事を含む30年以上」に変更。また、大規模修繕工事の修繕周期の目安については、例えば、躯体コンクリート補修について現行12年としたものを12~15年とするなど、工事事例等を踏まえ、一定の幅を持たせた記載に変更する。更に、社会的な要請を踏まえて、修繕工事を行うにあたっての有効性などを追記することとした。

また、11年4月に策定された「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」はもともと、修繕積立金額の目安を㎡単価で示すと共に、積立方法について解説することで、主に新築マンション購入予定者に適切な修繕積立金額の設定や理解を促すもの。改訂版では、事例を踏まえ、目安とする修繕積立金の㎡単価を更新。更に、同ガイドラインのターゲットとして既存マンションも対象に追加し、既に積み立てられた修繕積立金の残高を基に修繕積立金の目安額を算出する計算式に変更した。

(『住宅新報』2021年10月5日号より抜粋・編集)