Vol.9 中古物件仲介時のリフォーム搭載のポイント
現状の商圏では中古物件が多く、1契約当たりの単価が低いです。そのため、契約件数を増やしていく必要がありますが、どのように月間粗利を確保すればよいか教えてください。
Answer
営業社員1名で仲介粗利のみですと、年間粗利は平均2,000万円前後となります。生産性を高めるためには、買取再販や仲介時のリフォーム搭載が必要になります。今回は、仲介時のリフォーム搭載に関して具体的に解説させていただきます。
1.中古仲介時のリフォーム搭載の考え方
ポータルサイトの反響、いわゆる物件反響のお客様に対してのリフォーム搭載に関して、目指したい歩留まりは下記の図表のようになります。
基本的に中古物件の購入を問い合わせるお客様は、予算的に新築物件には手が届かないため、中古を検討される方が大多数です。
一方で、中古物件をリフォームして住むお客様が多いことも事実です。築浅物件、またはリノベーション済み物件ではない場合、築古物件を購入してそのまま住むよりも、リフォームして住む方が多いのではないでしょうか。
中古物件での反響問合せのお客様に対しては、初回接客時にリフォーム予算・リフォームイメージを伝え、物件探しの初期段階からリフォームの予算を確保しておくことが大切になります。
2.初回接客時のリフォーム予算取りの仕方
初回接客でリフォームの予算取りをするためには、まずお客様に来店してもらって接客をする必要があります。そのうえで、ヒアリングの段階でリフォームを考えているかを確認するとともに、「中古物件はリフォームが必要です」と説明します。誰かが使った水回りをそのまま使うことにあまり良い印象を持たないはずです。
リフォームをしたほうがよいと提案してからは、リフォーム費用の説明と施工後のイメージ付けを行う必要があります。いくらの予算でどんなリフォームができるのか、施工事例等を準備し、リフォーム実施箇所とその予算、施工後のイメージを伝えます。自社で買取再販売事業をしていれば、リフォーム済みの現場を物件案内の前に実際に見てもらうとよいでしょう。
3.リフォーム実施の有無と買い方提案
ここで大切になってくることが、買い方の提案です。リフォーム予算は水回り4点(キッチン・トイレ・浴室・洗面所)と床・壁・天井の表層リフォームで、お客様への提案金額は350万~400万円以上になります。お客様は当初、リフォームを想定せずに物件の問合せをしているので、その物件にリフォーム価格を追加すると予算オーバーとなるケースが多くなります。そこで、問合せ物件をそのまま購入して住むか、価格を落としてしっかりとリフォームができる物件を購入してもらい、リフォームをしたうえで住むかのどちらがよいかという買い方を提案します。
また、リフォームを前提とした資金計画も提示して、物件+リフォームで総予算に収まるよう提案を行います。最後に、問合せ物件や案内物件で、「ここはリフォームしておきたいという部分があればご相談ください」と声かけをしてから物件案内に臨みます。そうすると、お客様のほうからリフォーム希望箇所が出てくることが多くなります。
4.今後の時流とリフォーム搭載のための準備
今後、新築の仲介件数は年々減少し、中古物件の仲介件数が増加することが予想されます。
すでに都市部では新築マンションの供給量を中古マンションの供給量が上回っています。
そうした市場状況の中では、手数料単価の減少は必至ですので、仲介時のリフォーム搭載等での単価アップは必須になってきます。現状、不動産会社で多いパターンは建築会社への建築紹介で、多くても紹介料10%が主流です。今後は自社で請負契約(リフォーム打合せ、発注・工程管理等)を行い、リフォーム粗利率30%以上を目指せるように仕組みを整えていく必要があります。リフォームの搭載の仕組みづくりを視野に入れ、工務担当の採用やリフォームの商品ラインナップの整備、営業ツールの整備などを進めていく必要性があります。
ポータルサイト反響からのリフォーム搭載のポイント
- 初回接客時は、必ず来店してもらう。
- ヒアリング時にリフォームの必要性を訴求する。
- リフォーム価格の説明とともに、自社買取物件や施工事例を用いてリフォームのイメージ付けを行う。
- 物件+リフォームでの資金計画を提案する。
- 問合せ物件にそのまま住むか、リフォームした物件に住むか、買い方提案を行う。
- リフォーム搭載の仕組みづくり(工務の採用など)を会社として実施する。
株式会社船井総合研究所
不動産支援部 チームリーダー
シニア経営コンサルタント
塔本 和哉
不動産会社向けのコンサルティングサービスにおいて住宅・不動産業界に従事し、事業計画・採用計画・組織体制や評価の立案から現場に入り込んだ営業研修・ツール作成等を行っている。不動産売買事業の即時業績アップを得意としており、定評がある。