第60回
全国不動産会議佐賀県大会
魅力満載! さぁいこう佐賀
~風の時代に巻き起こす「シン・がばい旋風」~
11月21日(木)、佐賀市文化会館(佐賀県佐賀市)にて「第60回 全国不動産会議 佐賀県大会」が開かれました。新型コロナの影響により3年越しの開催となった待望の大会です。会場には、全国から約1,250人の協会関係者が来場し、活発な意見交換が行われました。
本大会のテーマである「魅力満載!さぁいこう佐賀 ~風の時代に巻き起こす『シン・がばい旋風』~」には、歴史と文化が息づき、美しい自然と豊かな食文化、そして温かい人々が織りなす佐賀の魅力を広く発信しようというメッセージが込められています(「がばい」の意味は、後述の本村健太郎弁護士の記念講演で解説されます)。
折しもこの秋、佐賀市では、国内初となる「SAGA2024国スポ・全障スポ※」が開催されたばかり。全国からたくさんの人が訪れ、会場となったSAGAアリーナ周辺や駅前の人の流れが大きく変わった年でした。基調講演では、そんな佐賀市のまちづくりについて、佐賀市副市長の鈴木宏一郎氏が講演を行いました。
また、本会が出展参加する「大阪・関西万博」における全日展示ブースのイメージや未来の宅建士キャラクター「ミラビー」もお披露目され、会場は大いに盛り上がりました。
交流会では、米どころ佐賀が誇る日本酒がずらりと並び、ご当地グルメや名産とともに振る舞われました。また、躍動感あふれるアトラクションが会場を沸かし、会員同士の交流を深めました。
※国民スポーツ大会・全国障がい者スポーツ大会
開会式 | 12:40〜13:20
第60回全国不動産会議佐賀県大会は、矢口則義全日・教育研修委員長の開会の挨拶で始まりました。千北政利佐賀県本部長は、冒頭、能登半島地震と大雨災害に被災された方々に哀悼の意を表し、第1回国民スポーツ大会2024が成功裏に終わったことへの感謝を伝えました。そして「私たち不動産業界も、多様な文化や地域の魅力を尊重し、持続可能な社会を築くことが求められている。住み続けられるまちづくりや気候変動への対応に重点を置きながら、地域の発展に貢献していくことを使命とし、佐賀の豊かな自然と環境、文化を守り、次世代に誇れる地域を築いていきたい。本日の大会が皆様の今後の活動に役立つものになることを願っている」と歓迎の言葉を述べました。続いて中村裕昌理事長が、「昭和42年から続く全国不動産会議は、不動産やまちづくりに関する調査・研究の成果の発表、相互の研鑽の場として歴史を重ねてきた。記念すべき第60回大会において、佐賀県の魅力を感じつつ、不動産業界が直面する課題や展望について意見を交換し、ここで得られた新たな知見やアイデアが共有されることを期待している」と挨拶しました。
来賓においては、中野洋昌国土交通大臣の挨拶を同省不動産業課長の川合紀子氏が代読。また、山口祥義佐賀県知事は「コロナの期間中、佐賀県は、SAGAアリーナの建設や佐賀駅周辺の歩道の拡張など、その先の社会に向けて布石を打ってきた。工業地の地価については、今年3月の国交省の発表によると、佐賀県が全国1位の上昇幅だった。また、今年はこの国の土台をつくった江藤新平が亡くなってから150年の年になる。そういったさまざまな巡り合わせのこの年に、皆様方をお迎えできることを大変うれしく思っている」と述べました。
続いて、坂井英隆佐賀市長、井上信治全日本不動産政策推進議員連盟事務局長、山下雄平参議院議員、木原奉文佐賀県県議会議員の挨拶のあと、岩田和親衆議院議員の祝電が披露されました。
開会挨拶
理事長挨拶
歓迎挨拶
来賓挨拶
大会旗引継ぎ
次回は、2025年大阪・関西万博に沸く大阪府本部で開催されます。佐賀県、大阪府両本部長と中村理事長が壇上に上がり、大会旗は千北佐賀県本部長から中村理事長に返還され、堀田大阪府本部長の手に引き継がれました。
最近の不動産行政について | 13:30〜13:50
〈発表〉 国土交通省不動産業課長 川合紀子氏
開会式のあと、国土交通省の川合氏より、本年6月に策定された「不動産業による空き家対策推進プログラム」を含む最近の不動産行政についての取り組みが発表されました。
この「不動産業による空き家対策推進プログラム」は、不動産業者が有するノウハウをこれまで以上に活かせるよう策定したもので、全体を「流通に適した空き家等の掘り起こし」と「空き家流通のビジネス化支援」で構成しています。
前者は、流通に適した空き家等を掘り起こし、市場に流通させる取り組みです。たとえば、① 所有者への相談体制の強化、② 不動産業における空き家対策の担い手育成、③ 地方公共団体との連携による不動産業の活動拡大、④ 官民一体となった情報発信の強化、といったものが挙げられます。しかし、「ここまでは従来の取り組みに近い部分がある」と川合氏。
そこで後者の「空き家流通のビジネス化支援」です。これは、不動産業のノウハウを活かす際に、ボランティアではなく、ビジネスとしてサービスの提供を行うというもの。具体的には、① 空き家等に係る媒介報酬規制の見直し、②「空き家管理受託のガイドライン」の策定・普及、③ 媒介業務に含まれないコンサルティング業務の促進、④ 不動産DXにより業務を効率化し、担い手を確保する、というものです。上記取り組みについて解説した川合氏は、「本プログラムは、これからひとつひとつ実施・推進していくことによって初めて意味がでてくるもの。媒介報酬が引き上がったことで終わらずに、その周辺のサービスの充実を通じて、地域の役に立ちながら、また不動産業として発展していくための道を一緒につくっていきたい」と語りました。
基調講演| 13:50〜14:50
『SAGA2024国スポ・全障スポ』のレガシーを未来へ
~ウォーカブルシティSAGA~
〈講師〉 佐賀市副市長 鈴木宏一郎氏
基調講演では、鈴木副市長が登壇し、佐賀市のまちづくりについて2つのテーマで講演しました。
1つは「コンパクトなまちづくり」について。そしてもう1つは、この9~10月に開催された「『国民スポーツ大会・全国障がい者スポーツ大会(SAGA2024国スポ・全障スポ)』に伴うSAGAサンライズパーク周辺のまちづくりの取組」についてです。
「コンパクトなまちづくり」についての講演では、佐賀市の雄大な自然や名産、バルーンフェスタなどのイベントについて紹介したうえで、市の現状について報告。1985年と2015年を比較すると、人口は約3%減少し、一方で市街地は1.3倍に拡大している。また、2020年には2人で1人の老年人口を支えていたが、2040年には1.6人で1人を支えることが予想されることなどから、「2040年を見据え、人口密度を意識したコンパクトなまちづくりを進めていかなければならない」と述べ、本年4月に策定した立地適正化計画の方針などを発表しました。
一方、「『SAGA2024国スポ・全障スポ』に向けたまちづくり」については、大会に向けて県が進めたSAGAサンライズパークの整備について触れ、佐賀駅周辺に発生する新たな人の流れを中心市街地にもってくるために、3段階で行ったまちづくりについて解説。「佐賀の魅力を感じていただいた皆様にまた佐賀に来ていただけるよう、これらの取り組みをレガシーとしてしっかりと活用し、まちのにぎわいをつくっていきたい」と締めくくりました。
記念公演 | 14:55〜16:25
本村弁護士の行列のできない法律相談所
『がばい!よかばい!佐賀に来てくんしゃい!』
~人口減少時代の定住促進~
〈講師〉 弁護士 本村健太郎氏
記念講演では、テレビ番組「行列のできる相談所」などで人気の弁護士 本村健太郎氏が登壇。俳優や世界遺産検定マイスターとしての顔も持ち、幅広い分野で活躍しています。
佐賀県出身である本村弁護士は、まずはじめに、本大会のテーマにもある佐賀弁「がばい」の意味について、「甲子園で『がばい旋風』が有名になりましたが、がばいの本来の意味は『とっても』なんです。ですから『がばい!よかばい!』は『とってもいいよ』という意味」と説明。そして、2024年の「都道府県魅力度ランキング」で佐賀県が最下位になったことについて触れ、「本当は佐賀県にはさまざまな魅力がある」と、佐賀の地形や名産、遺跡、伝統工芸などを枚挙し、その情趣を熱く語りました。
また、「人口減少時代の定住促進」についての話では、東京圏のある人口減少都市に関する調査結果を紹介し、「長期間空き家になっている家が多いと、個人の資産管理の問題だけではなく、近隣の住民の住環境、不動産取引、資産価値といったものにまでネガティブな影響を与え、さらにそれが地域の魅力を損なう負のスパイラルにつながる」と報告。そして「いまこそ官民一体となった空き家対策が求められ、不動産業の活躍が期待されている。そういう取り組みを進めるために、国土交通省が『不動産業による空き家対策推進プログラム』を策定した」と、先の川合紀子氏の発表について触れました。
さらに、不動産業の顧問も務める本村弁護士は、将来に向けての希望として、①宅地建物取引業免許の承継、②不動産登記の登録免許税の廃止、③印紙税の廃止についての見解を述べました。
最後に、世界遺産検定マイスターとしての本村氏からレオナルド・ダ・ヴィンチの名画に関する世界遺産クイズが出題されると、会場は一気に和やかな雰囲気に。そして佐賀県では「来てね」を「来てくんしゃい」と言うと話し、皆で「がばい!よかばい!佐賀にまた来てくんしゃい!」と唱和。大団円となりました。
閉会式 | 16:25〜16:55
閉会式では、「2025年大阪・関西万博の『大阪パビリオン』出展参加の取り組み報告」が、大阪府本部万博担当の佐藤課長から行われました。冒頭、当会がスペシャルパートナーとして協賛・出展する大阪ヘルスケアパビリオンの概要動画が流れ、鳥の巣をイメージした外観や内観をはじめ、全日の展示を案内するキャラクター 未来の宅建士・ミラビーなどが披露されました。また、「衣・食・住で未来の健康な都市生活」のコンセプトのもと進められている4つの出展計画なども紹介。さらに、万博開幕に先駆けて、1月15日にオープンする「バーチャル大阪パビリオン」の参加方法※や万博入館の流れ、大阪ヘルスケアパビリオンの予約方法なども案内されました。
佐藤氏は「この万博で、当会はリアルとバーチャルで魅力的な展示を展開する予定。不動産業界の未来像を発信し、次世代の宅建士や住環境づくりの関心を高めていきたい。その未来を共につくる第一歩として、多くの方々に楽しんでいただけることを願っている」と話しました。
※1.スマホに「リアリティ」アプリをインストール
2.自分のアバターを作成
3.「バーチャル大阪パビリオン」にアクセス
4.全日の展示ブースを訪問
佐藤氏は「この万博で、当会はリアルとバーチャルで魅力的な展示を展開する予定。不動産業界の未来像を発信し、次世代の宅建士や住環境づくりの関心を高めていきたい。その未来を共につくる第一歩として、多くの方々に楽しんでいただけることを願っている」と話しました。
続いて大阪府本部の役員が壇上に上がり、堀田健二大阪府本部長が「いよいよ2025年9月3日、大阪府にて全国大会が開催されることになった。テーマはReborn─再生です。ぜひ参加し、その後に大阪・関西万博にいらしてください」と述べました。
そして、丸岡敬全日・副理事長による大会宣言発表のあと、福山修保証・教育研修委員長の挨拶により閉会となりました。
大会宣言(抜粋)
一. 安心・安全な不動産取引の確保と宅地建物取引業の健全な発展に邁進する
一. 持続可能なまちづくりを推進するために、地域住民、自治体、不動産業界が一丸となって取り組む
一. 持続可能な開発や防災対策、観光・文化の振興など、多角的な視点からアプローチし、地域全体の調和を図りながらまちづくりを推進する
次回開催県PR
大会宣言
閉会挨拶
交流会 | 18:30~20:00
交流会の会場である「ガーデンテラス佐賀 ホテル&リゾート」では、佐賀市のご当地グルメ「シシリアンライス」のPRキャラクター シシリアンナちゃんがお出迎え。開宴までの時間は、歴史演劇ユニット「幕末・維新佐賀の八賢人おもてなし隊」によるオリジナル劇で、佐賀県ゆかりの賢人たちの偉業や歴史について楽しく学びました。
会場では、最初に村岡正美佐賀県本部実行委員長が「皆様をお迎えするにあたり、佐賀の魅力を発信するにはどうしたらいいかと会議を重ねてきた。交流会では、佐賀の地酒や名産を用意したので、時間の許す限り楽しんでいただきたい」と開会の挨拶を述べ、続いて中村裕昌理事長が挨拶しました。
来賓の挨拶では、出席した野田聖子全日本不動産政策推進議員連盟会長、毛利信二住宅金融支援機構理事長、坂井英隆佐賀市長に登壇いただきました。その後、伊藤明九州・沖縄地区協議会会長による乾杯で交流会が始まり、福岡資麿厚生労働大臣などの祝電が読み上げられました。
歓談のなか「アクロバットパフォーマンスチームVIVO」のアトラクションが披露されると、まるで重力を感じさせない軽やかな動きに観客は圧倒されどおし。続いて「マッスル、マッスル」のかけ声とともに登場したのは「PEAK SMILE」。筋肉で佐賀県を盛り上げる!と筋肉かき氷を披露し、会場を沸かせました。
最後に、千北政利佐賀県本部長が壇上へ上がり、令和7年度・8年度の本大会開催地である堀田健二大阪府本部長・西和成福井県本部長を紹介し、第60回全国不動産会議佐賀県大会は盛況裏に幕を閉じました。