9月4日(木)14時、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)にて「第61回 全国不動産会議 大阪府大会」が開かれ、全国から1,700人を超える協会関係者が集い、親睦を深めました。
本大会のテーマである「Re-born-再生-」は、当協会がスペシャルパートナーとしてブース出展した、2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」のテーマでもありました。その取組概要報告では、特別ゲストとしてミャクミャクも登壇。続くパネルディスカッションでは、万博への出展に際して当協会が調査研究して策定した「ミライREBORNスマイビジョン」を基に、「みんな暮らし」のまちづくりについて議論を展開しました。
交流会第1部では吉本新喜劇を観劇、第2部は会場をリーガロイヤルホテル大阪に移し、多彩なアトラクションや大阪のソウルフードをはじめとする美食を堪能。互いに学び、大いに笑い、食の都 大阪を体感した、心もお腹も満たされた盛大な“祭り”の模様をリポートします。



column
大阪府大会を記念して、夢洲にてイベント開催
大会当日の午前中、大阪・夢洲の万博会場「大阪ヘルスケアパビリオン」イベント広場にて、市民参加型のイベントを開催。ブース展示で示した“共助の暮らし”の発想を反映し、市民が新しい視点で大阪を体感できる企画を展開しました。
開会に際し、中村裕昌理事長は「社会が大きく変化する中で、人と人との共助はより重要になる。不動産業は地域に根差す産業として、人々の暮らしを支える存在でありたい。今回の万博出展をその出発点にしたい」と業界の使命を強調。藤田昌邦国土交通省大臣官房審議官からも挨拶をいただきました。イベント後半はOSK日本歌劇団による華麗なレビューが披露され、会場に華やぎを添えました。

開会式 ● 14:00~14:45
第61回全国不動産会議大阪府大会は、矢口則義全日・教育研修委員長の開会の挨拶で始まりました。
冒頭、古我康浩大阪府本部長は「皆様のご支援もあり、現在開催中の大阪・関西万博 大阪ヘルスケアパビリオンに『みんな暮らしの街』をテーマに出展参加することができました。各会場では、時代を見据えた技術やアイデアが日々発信されています。私たち不動産業界もまた、住まいや暮らしを支える担い手としてどのような役割を果たすべきか、あらためて考える機会ではないでしょうか。ここ大阪は、常に新しいものを受け入れながらも、地域の魅力や人と人とのつながりを大切に育んできた土地です。歴史と懐の深さをぜひ肌で感じていただければと願っております」と歓迎の言葉を述べました。
続いて登壇した中村裕昌理事長は、「大阪ヘルスケアパビリオンは非常に人気があり、なかなか予約がとれません。万が一予約がとれない場合は、ぜひバーチャルで楽しんでいただきたい。全国不動産会議は年に一度の事業であり、お祭りです。大阪は食い倒れのまちですので、おいしいものでお腹を満たしていただければ幸いです」と挨拶しました。
来賓においては、中野洋昌国土交通大臣の挨拶を同省大臣官房審議官 藤田昌邦氏が、また、横山英幸大阪市長の挨拶を同市都市整備局局長 尾植正順氏がそれぞれ代読されました。続いて、野田聖子全日本不動産政策推進議員連盟会長が、万博には3回行き、全日のブースも拝見したと述べたうえで「『みんな暮らし』というのは、日本にとって大黒柱になる政策。住むところがないということは、人間の尊厳の最大の欠落になる。被災された方も、仮設住宅の中で身体も心も疲弊してしまう」と、みんな暮らしの必要性について話しました。さらに、女性の単身高齢者が賃貸住宅を借りづらい現状や、昨今の不動産価格の変化等について触れ、「住みたい人が住める国をつくっていくことを、ぜひこれからも先頭に立って頑張っていただきたい」と語りました。次に、坂本久公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会会長、岡本森廣公益社団法人大阪府建築士会会長が挨拶し、最後に吉村洋文大阪府知事のビデオメッセージが放映されました。
開会挨拶

理事長挨拶

歓迎挨拶

来賓挨拶






大会旗引継ぎ
次回は、越前ガニが旬を迎えるころ、福井県本部で開催されます。大阪府、福井県両本部長と中村理事長が壇上に上がり、大会旗は古我大阪府本部長から中村理事長に返還され、西福井県本部長の手に引き継がれました。

大阪・関西万博の取組概要報告 ● 14:45~15:00
〈報告者〉
大阪府本部事務局長 万博出展チーム長 室井俊一氏

万博出展チーム長を務めた室井大阪府本部事務局長は、はじめに次のように現状を報告しました。「4月13日の開幕以降、万博の累計来場者数は1,900万人を突破し、世界158カ国の技術やデザイン、文化に触れられる貴重な機会となっています。当協会は『みんな暮らしの街』をテーマに、万博で2番目に大きい『大阪ヘルスケアパビリオン』に出展。8月7日時点で来館者数は300万人を超え、最も予約が取れないSSランクのパビリオンと言われています」。万博開催に先駆けて今年1月から公開された「バーチャル大阪パビリオン」も盛況を博しており、8月時点で延べ来場者(アバター)数が800万人を超えたそうです。
続いて、2050年頃の都市を想定した「ミライの都市」エリアへの出展にあたり、テーマを「みんな暮らしの街」とした背景について説明。そして、2023年に大阪府建築士会との共催で「ミライREBORNスマイプロジェクト」コンペを実施したこと、その審査委員長を映画「シン・ゴジラ」などで著名な樋口真嗣監督に依頼したこと、未来の宅建士ミラビーのデザインを、アニメ「うる星やつら」などのキャラクターデザインを手がける高田明美先生にお願いしたことなどを、その理由とともに述懐しました。
さらに、約1年前、大阪ヘルスケアパビリオンの会長である吉村大阪府知事を訪問した際に、「全日さんには子どもたちの記憶に残る展示をお願いしたい」と頼まれたことを明かし、「いまの小学生や中学生は、2050年には40歳前後となり、住宅一次取得世代になる。その子たちが家を買うときに、そういえば2025年の万博で、未来の宅建士ミラビーに未来の都市を案内してもらったねと思い出してもらえたらうれしい」と語りました。
最後に、大阪ヘルスケアパビリオンを企画した森下竜一総合プロデューサーをはじめ、ご支援、ご協力を賜った関係団体や全国の会員に感謝を述べて報告を終了しました。

パネルディスカッション ● 15:00〜16:00
ミライREBORNスマイビジョンから考える「みんな暮らし」のまちづくりとは?

パネルディスカッションは、大阪・関西万博への出展にあたり、全日が調査研究して策定した「ミライREBORNスマイビジョン」を基に行われました。
モデレーターを担ったのは、当ビジョンを主体となって作成された株式会社不動産経済研究所顧問 高橋幸男氏。パネリストは、万博実行委員である土田英明委員長、疋田貞明副委員長、古我康浩大阪府本部長が務めました。
はじめに
まず、高橋氏が「ミライREBORNスマイビジョン(以下、ビジョン)」の構成(図表1)と各章の概要を紹介。そして、「ビジョンでは、今回の万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』を踏まえて、これまで日本が積み上げてきた資産や制度、技術力を生かして、次世代に持続可能な社会をつないでいく必要があると宣言している。キーワードとなるのはSDGsやウェルビーイングで、SDGsは『いまを守る』戦略、ウェルビーイングは『より良い豊かさを目指す』能動的な戦略だと位置付けている」と説明しました。
では、具体的にどうしていくのか。それは次に述べる第1章から5章で語られています。
図表1:「ミライREBORNスマイビジョン」の構成

第1章 まち
パネラーの土田氏は、人口減少や超高齢化、気候変動といった日本の現状を踏まえてまちづくりを考えていくうえで鍵となるのは「機能重視から快適性重視への移行である」と見解を示しました。
持続可能性のある快適なまちづくりの成功事例として、大阪駅北側の「うめきた公園」、佐賀駅周辺のウォーカブルなまちづくり、宇都宮市のコンパクトシティ等を挙げ、それぞれの特徴について考察しました。
第2章 住まい
「住まい」の章では、疋田氏が1900年代初頭から現在までの人口動態についてデータを提示し、「わずか120年ほどで人口が2.8倍に増え、現在はこれまでに経験したことがない人口減少と超高齢化社会を迎えている」と分析。そして、それはすなわち、量的な膨張から縮小に転換せざるを得ない社会になっていくのだと思うと述べ、「重要なのは、量的には縮小するが、質的には向上していくように世の中の仕組みを変えていくことであり、このことが端的に現れている分野の1つが住宅である」として、空き家対策と地域再生について見解を示しました。
さらに、住まいはただ居住するだけの場から、働き・学び・ケアの場に進化すると将来像を提示しました。
第3章 資産価値
ここでは、1章・2章の意見を踏まえたうえで、今後の資産価値をどのように考えていけばよいのかを古我氏が説明。いわく、「これまでの不動産の資産価値は、駅近、予算、利便性といった軸で語られてきたが、今のマーケットから支持される不動産は、そのうえにさまざまな評価軸が加わっている」。その例として、かつて大阪証券取引所があった北浜を挙げ、「オフィス一辺倒だったまちが、川沿いの遊歩道整備やカフェなどの増加により、水辺の暮らしが高く評価された。これには立地の優位性もあるが、自然との共生や歩きやすさといった新しい価値軸が加わっているからだと思う」と見解を述べました。
また、「多様性やウェルビーイングなど、多岐にわたる視点から資産価値を考え直す必要性がある」と考えを述べました。
第4章 人への投資
昨今の人手不足問題は、全産業の2.3%を占める不動産業界にとっても深刻です。人への投資の進め方を問われた疋田氏は、「多様な人材に多様な働き方で戦力として加わっていただくという考えが必要」と回答。そして、「宅建士資格の女性の保有割合は3~4割に上る。労働市場から一時的に退出した女性に、再戦力として業界に再参入してもらうということは、女性たちのライフコースのひとつになっていくのではないか」と、ビジョンにある学習院大学 滝澤教授の考察を紹介しました。
また、人材や働き方の多様化をさらに推進していくためには、DX化による業務の効率化が必要になると方向性を示しました。
第5章 宅地建物取引業を超えて
第5章では、まちや住まいの共助を促す仕組みとして、宅地建物取引業者を「まちの相談士」あるいは「住まいのかかりつけ医」として位置づけた提案を盛り込んでいます。この提案を収益化するための案として、疋田氏は「不動産業者は地域の触媒でなければならない。触媒とは英語で『カタリスト』で、こじつけではあるが、これを日本語的に『語る人』と捉える。すなわち、さまざまな人や集団と語り合う人。それが結果として、宅建業者が地域の核となり、収益化の機会を増やすことにつながる」と話しました。
最後に高橋氏は、「地域を構成するさまざまな主体と『カタリスト』として語り合いながらまとめていくことが、宅地建物取引業者の役割であり、それが持続可能なまちや住まい、地域を育んでいくことだと思う」と締めくくりました。




閉会式 ● 16:00~16:15
閉会式では、来年度の大会開催地である福井県本部の会員および恐竜1頭が登壇。令和8年11月12日に、恐竜王国・福井で開催される「第62回全国不動産会議 福井県大会」をアピールしました。
西和成福井県本部長は、「福井県は、昨年の北陸新幹線開通にともない、東京から乗り換えなしで3時間、大阪・名古屋からは2時間弱でお越しいただけるようになりました。来年の福井県大会では、福井駅前の再開発をご覧いただき、越前ガニと地酒を食していただきたい」と熱い想いを語りました。
続いて、萩原幸二愛知県本部長、矢口則義長野県本部長、疋田貞明静岡県本部長ほか若手本部長5名からなる中部北陸地区協議会のメンバーが登壇。萩原本部長が代表して「私は中村理事長の『同じ釜の飯を食う仲間』という言葉を大切にしています。中部北陸地区協議会は硬い一枚岩です。この一枚岩で福井県大会を成功させて、年に1度のお祭りが皆様に感動を与えられますよう、がんばる所存でございます」と激励の言葉を述べました。そして、中部北陸地区協議会の縁起担ぎ「あげしおじゃー!」を披露し、会場を盛り上げました。
その後、竹内秀樹全日・専務理事による大会宣言のあと、柴田行夫保証・教育研修委員長の挨拶により閉会となりました。
大会宣言(抜粋)
一. 不動産業が土地や建物の取引を超え、豊かな未来社会を築く一翼を担う産業であることを認識し、真摯に議論を重ねてきた成果として「ミライREBORNスマイビジョン」を掲げる。
一. 具体的には、地域の担い手として「みんな暮らし」の支援、住まいのウェルビーイングと専門性の向上、国際化への積極的な対応、高齢者と子育て世代への支援、女性の活躍推進、宅地建物取引業の収益構造確立のための新たな施策への取り組みを行う。


次回開催県PR


大会宣言

閉会挨拶

交流会第1部 ● 16:40~17:30
吉本新喜劇
「無料相談をきっかけに空き家に笑いの福きたる!」
大阪府大会を記念して、全日が取り組む一般市民向けの不動産無料相談をテーマとした吉本新喜劇を上演。大阪のたこ焼き屋さんを舞台に、空き家の活用や不動産相談、さらには家族の再生まで、笑いと感動とギャグがあふれる舞台を観劇しました。

交流会第2部 ● 18:30~20:00
交流会第2部は、会場をリーガロイヤルホテル大阪に移して行われました。心地よいピアノの調べで迎えられたあと、ステージでは青柳美扇氏の書道パフォーマンスにより、力強い「飛躍」の文字が披露されました。
古我康浩大阪府本部長による開会挨拶のあと、中村理事長が登壇し、「全日はいま、会員数3万8,000社に達し、令和8年度中には4万社達成を目標に掲げています。先ほど『飛躍』という素晴らしい文字を書いていただきましたので、より一層、高みを目指して頑張っていきたい。また本日は、全日が提携している台湾からも、王理事長をはじめ17名の方にお越しいただいています。不動産業は人と人とのつながりが全てですので、ぜひ多くの皆さんと交流を深めていただきたい」と挨拶しました。
来賓の挨拶では、井上信治全日本不動産政策推進議員連盟事務局長、毛利信二住宅金融支援機構理事長、森下竜一大阪ヘルスケアパビリオン総合プロデューサー、中華民國不動產仲介經紀商業同業公會全國聯合會(全聯會)の皆様に登壇いただきました。その後、坊雅勝近畿地区協議会会長による乾杯で交流会がスタート。歓談のなか、特別セレモニーとして、未来の宅建士ミラビーのデザイナーである高田明美先生に感謝状の贈呈が行われ、その後、祝電が披露されました。
アトラクションでは、「マスケラ」による華麗な五重奏と、「つかさ会」による民謡河内音頭が会場を華やかに彩りました。
最後に、林勝行大阪府本部副本部長が「明日は万博に行かれる方がたくさんいらっしゃると思いますが、天気は晴れとの予報です。存分にお楽しみください!」と閉会の辞を述べ、第61回全国不動産会議大阪府大会は盛況裏に幕を閉じました。






理事長挨拶

来賓挨拶




乾杯

閉会挨拶

