相続相談
2022.11.14

Vol.20 区画整理中の土地を相続した場合の土地の評価


Question

父の死亡により、遠方の県にある土地を相続しました。この土地は、以前から別の会社に倉庫用地として貸付けしており、毎年地代を収受しています。
相続税申告のため、この土地を評価する必要がありますが、確認したところ、土地区画整理事業の対象となっていることがわかりました。遠方のため状況が不明ですが、区画整理は滞っているようであり、相続した土地は昔からの区画整理前の土地です。この土地を評価するにあたり、留意すべき事項があればご教示ください。

土地の評価のイメージ図

Answer

ご質問の状況からみて、相続された土地については区画整理が完了していないものと思われます。この場合、以下の手順で評価していくことになります。

1. 区画整理の段階の確認

一般的に土地区画整理事業は次のような段階で進みます。

  • 1 地元住民とのまちづくり案の検討
  • 2 都市計画の決定
  • 3 事業計画の決定
  • 4 換地設計
  • 5 仮換地※1の指定、使用・収益の停止
  • 6 建築物等の移転または除却
  • 7 工事
  • 8 換地処分
  • 9 換地処分に伴う登記
  • 10 清算金の徴収および交付、減価補償金の交付

※1 土地区画整理事業が行われる際、従前の宅地の代わりに使用できるよう提供される予定の土地のこと。
なお、事業が完了した場合は、そのまま換地となる。

まず初めに、自治体や土地区画整理組合等のホームページで、当該土地区画整理事業の概要を確認するとよいでしょう。

すなわち、事業開始日はいつか、仮換地の指定はなされているのか、仮換地における使用・収益の開始日の指定はなされているのか、区画整理事業の完了見込みはいつかなどを確認し、現在、事業がどの段階にあるのかを確認してください。できれば、自治体や土地区画整理組合等に直接出向いて、事業の進行状況について確認するとよいでしょう。

2. 相続した土地が具体的にどの段階にあるかの確認

ご質問の土地は、以前から現在まで倉庫用地として貸付けしているとのことですので、仮換地指定を受けているとしても、従前地※2であるものと思われます。

※2 土地区画整理事業が実施される前の土地のこと。

確認方法としては、「仮換地証明書」や「仮換地の使用・収益開始日の通知書」が手元に届いているかをお調べください。また、先ほど述べたように、直接、当該組合等にも確認してみてください。

3. 仮換地指定の有無による評価原則の適用

仮換地指定がない場合は、従前地として評価することになります。

仮換地指定がある場合は、次のように評価します。

①次の②または③に該当しない場合、仮換地の土地を財産評価基本通達の価額により評価する。
②工事完了まで1年を超える見込みの場合、仮換地の土地を財産評価基本通達の価額の95%で評価する。
③ 使用・収益開始日が未確定で、かつ、造成工事が行われていない場合、従前地として評価する。

なお、ここで「評価する」というのは、当該従前地または仮換地を、路線価図または倍率表の区分に応じて評価することですが、その後、画地調整をすることになります。

4. 評価にあたっての留意事項

この土地に関する区画整理事業は滞っているとのことですので、前記の3.③の段階すなわち、仮換地指定は受けているが仮換地としての使用・収益日は未確定であり、かつ、造成工事は行われていないものと考えられます。

この場合、従前地として路線価図等により評価することになりますが、区画整理中の土地については路線価図において「個別評価」とされていることがあります。個別評価とされている土地については、所轄の税務署に「個別評価申出書」を提出して評価してもらう必要があります。なお、その後の画地調整については、通常の土地と同様です。

【参考】

Ⅰ. 土地区画整理事業とは

都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善および宅地の利用の増進を図るため、土地区画整理法で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更および公共施設の新設または変更に関する事業をいう(土地区画整理法2条1項)。

Ⅱ. 土地区画整理事業施行中の宅地の評価
(財産評価基本通達24-2)

土地区画整理事業…(中略)…の施行地区内にある宅地について…(中略)…仮換地が指定されている場合におけるその宅地の価額は、…(中略)…その仮換地の価額に相当する価額により評価する。

ただし、その仮換地の造成工事が施工中で、当該工事が完了するまでの期間が1年を超えると見込まれる場合の仮換地の価額に相当する価額は、その仮換地について造成工事が完了したものとして、本文の定めにより評価した価額の100分の95に相当する価額によって評価する。

(注)仮換地が指定されている場合であっても、次の事項のいずれにも該当するときには、従前の宅地の価額により評価する。
1 (一部略)仮換地について使用または収益を開始する日を別に定めるとされているため、当該仮換地について使用または収益を開始することができないこと。
2 仮換地の造成工事が行われていないこと。

参考:「詳解 土地区画整理の税制」国土交通省都市・地域整備局市街地整備課監修

今回のポイント

  • まず、自治体や土地区画整理組合等のホームページで、当該土地区画整理事業の概要を確認する。
  • 「仮換地証明書」や「仮換地の使用・収益開始日の通知書」が届いているかを調べる。
  • 仮換地指定がない場合は、従前地として評価する(仮換地指定がある場合は、前記の3.①~③に沿って評価)。
  • 従前地として路線価図等により評価する場合、「個別評価」とされていることがある。個別評価の土地については、所轄の税務署に「個別評価申出書」を提出して評価してもらう必要がある。

若林昭子

コンパッソ税理士法人
税理士

若林 昭子

大学卒業後、弁護士秘書を経て税理士資格取得。平成15年東京税理士会登録。平成29年から現職。TKC東京都心会会員。(株)山櫻監査役、(一社)日本中小企業経営支援専門家協会理事を務める。