令和5年という新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます


斉藤 鉄夫

国土交通大臣

斉藤 鉄夫

昨年8月に第2次岸田改造内閣が発足し、引き続き国土交通大臣の任に当たることとなりました。本年も国土交通行政に対する皆様の変わらぬ御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。

現在、我が国は、国難とも言える状況に直面しています。少子高齢化や人口減少に伴う国内需要の減少、労働力不足等の厳しい状況に直面する中、令和2年からの新型コロナウイルス感染拡大は、我が国の社会経済や国民生活へ甚大な影響を及ぼしました。また、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、世界的な物価高騰、円安が進行し、経済に大きな影響を与えているほか、エネルギーの安定供給が脅かされるなど、外交・安全保障環境も厳しさを増しています。さらには、気候変動に伴い、自然災害が激甚化・頻発化しています。

こうした難局を乗り越えるためには、政府一丸となって政策を総動員し、着実に実行していく必要があります。新型コロナウイルス感染症については、感染状況を見極めつつ、地域経済を支える観光の本格的な復興、地域の暮らしや産業に不可欠な公共交通の確保等に取り組んでまいります。また、水際対策の緩和など「ウィズコロナ」という新たな段階に向けて、明るい兆しも見られることから、円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化を図ってまいります。

物価高騰については、国土交通省の行政分野でも、資材価格や住宅価格、燃料価格の高騰などに影響が生じています。国民生活や事業活動を守る観点から、関係省庁と連携し、迅速かつ着実に必要な対策を進めてまいります。

気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化により、昨年も、大雨や台風により全国各地で甚大な被害が生じました。被害に遭われた方々に謹んで哀悼の意を表します。

私は、災害により犠牲となる方を少しでも減らすことこそ、政治の役割であるという想いをもって、政治家としての活動を行ってまいりました。その想いのもとに、災害を防ぎ、国民の生命・財産を守るという国土交通省の持つ極めて重要な役割を果たすべく、事前防災対策の更なる強化を含め、防災・減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。

なお、不動産業に関する重点項目は以下のとおりです。

●国民の安全・安心の確保

  • ・令和3年に熱海市で発生した土石流災害を受け、昨年、盛土規制法が公布されました。本年5月の法施行に向けて、ガイドラインの検討等を進めています。

●コロナ禍からの経済社会活動の確実な回復と、経済好循環の加速・拡大

  • ・脱炭素社会の実現に向け、改正建築物省エネ法に基づき省エネ基準適合の全面義務化を進めるとともに、優良な都市木造建築物等や中小工務店等が建築する木造のZEH等に対する支援を行います。
  • ・不動産取引のオンライン化や取引でのデジタル技術の活用、各不動産の共通コードである「不動産ID」による不動産関連情報の連携・活用の促進、土地・不動産関連情報を地図上にわかりやすく表示する土地・不動産情報ライブラリの整備など、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する環境整備に取り組みます。

●豊かで活力ある地方創りと、分散型の国づくり

  • ・二地域居住等の普及促進に向けて、新たな働き方・住まい方への対応として、職住近接・一体の生活圏を形成するなど「新たな日常」を実現するため、テレワーク拠点整備等を推進します。
  • ・所有者不明土地対策については、広場、防災備蓄倉庫等の公益性の高い施設に所有者不明土地を活用可能とする地域福利増進事業の拡充、周辺に悪影響を及ぼしている所有者不明土地の管理を適正化する勧告・命令・代執行、市町村による対策計画の作成、低未利用土地の有効利用などに民間の立場から取り組む推進法人の指定など、改正所有者不明土地法で講じられた制度が昨年11月から施行されました。これらの制度が有効に活用されるよう支援を行います。
  • ・空家等対策の推進に関する特別措置法に基づいて市町村が取り組む空き家の除却・利活用を支援するとともに、相続した空き家の譲渡所得の特別控除や「全国版空き家・空き地バンク」の活用促進を図ります。また、社会資本整備審議会の下に「空き家対策小委員会」を設置し、更なる対策の強化を検討します。
  • ・住宅循環システムの構築に向け、良質な住宅ストックの形成、既存住宅流通市場の活性化、住宅取得・リフォームに対する支援に取り組みます。
  • ・マンションを巡っては、建物と居住者の両方における高齢化に対応していくため、マンション管理計画認定制度等の普及や、今般創設される予定の適切な修繕工事を促す税制などを通じて、マンションの長寿命化を実現する取り組みを推進します。
  • ・賃貸住宅管理業者に対する全国的な立入検査を行うこと等により、制度の理解促進や賃貸住宅管理業の適正化に努めます。

本年も、現場力・総合力を活かして諸課題に全力で取り組んでまいります。皆様方にとりまして、希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心から祈念いたします。