理事長就任のご挨拶


中村 裕昌

公益社団法人 全日本不動産協会 理事長
公益社団法人 不動産保証協会 理事長
一般社団法人 全国不動産協会 会長

中村 裕昌

この度、全日第37期および保証第26期の理事長に加え、TRAおよび日政連の会長職を拝命いたしました。

振り返りますと、平成15年に全日総本部の理事に就いて以来、今期で21年目を迎えることとなりました。この間、全日の専務理事、また保証の副理事長として歴代理事長を支えながら協会運営に携わって参りました。

今から70年余り前、昭和27年の宅地建物取引業法制定に向けて奔走した先達諸氏、そして宅建業法と共に歩んで来た我が全日本不動産協会の長きにわたる歴史に尊崇の念を抱きながら、一意専心、決意新たに不動産業界と組織の発展に微力を果たす所存でおります。

目下、我が国は少子高齢化による人口減少という極めて困難な課題に直面しています。政府の推計によれば2050年におよそ1億192万人まで人口が減少し、かつ高齢化率は37.7%まで上昇するとされていますが、これはすなわち、わずか30年足らずのうちに人口が2,300万人以上減るうえ、全人口の4割近くを65歳以上が占める社会を迎えるということです。しかも、それは85歳以上の人口が全年齢分布で最多層となる“超高齢化社会”であります。

近年、我が全日本不動産協会では全国より約2,300社もの新規入会者を迎えており、毎年1,000社ほど会員数が増加するなど破竹の勢いで組織が拡大しています。私もまた秋山前理事長が掲げられた「正会員数4万社の達成」という大きな目標に向けて全地方本部一丸となって取り組む決意でおります。これはとりもなおさず、組織基盤の強化を進めるための必須の施策で、上述のとおり超高齢化・人口減少社会を迎えることが不可避な情勢のもと、将来的に宅建業者数、そして新規開業者数も自ずと減少することが自明である以上、早期に会員皆様の会費によって安定的な運営を行える体制を構築しなければならないと考える次第です。

冒頭で申し上げたとおり、全日本不動産協会は業界最古の歴史を誇る団体であり、そのこと自体、会員の皆様の誇りとして長らく受け継がれているところですが、さらに私が目指すのは、不動産業界そして社会が抱える現代的課題をつぶさに捉えて、全国から参集する多士済々と共に衆議をもって政策提言を行う組織です。このようにして、国や自治体、そして社会全体に対する全日の存在意義を高めて参りたいと思います。

ご存知のとおり、目下、デジタル関連政策の中で宅建業法にも相応の変化が求められているところです。全日の、そして業界のさらなる発展と今日の社会的要請との調和を目指し、体現すべき道筋について果敢に声を上げて参ります。

こうした取組みの先に見据えるのは、この歴史ある全日本不動産協会をさらなる高みへと導き、今や3万6,000社に迫る全国の会員各位に誇りをもって日々の仕事に励んでいただくこと、それにより「全日ブランド」をより一層発揚させて、社会から揺るぎない信頼を得ることです。

与えられた任期中、余すことなく持ち得る限りの力を尽くす所存ですので、どうか皆様の厚いご支援を賜りたく、謹んでお願いを申し上げます。