謹んで新春のお慶びを申し上げます
公益社団法人 全日本不動産協会
公益社団法人 不動産保証協会
理事長
中村 裕昌
皆様、健やかに澄みきった心持ちでこの令和6年を迎えられたことと存じます。
昨年6月末に新たに理事長の職を拝命してから早半年が過ぎました。この間、マーケットでは一時1ドル151円台後半に達するなど急速に円安基調が進んだほか、原油高や輸入原材料の高騰により消費者物価指数も前年同月比3%台の上昇を続けています。足元の我が国経済においては、物価高に負けない賃上げの実現、そして労働生産性の向上が消費回復・雇用増など景気の好循環を招く鍵とされております。
他方、ポストコロナの不動産市況に目を向けますと、7月の路線価、また9月の都道府県地価調査と、続けて全国的に緩やかな地価の持直し傾向が示されており、なかには北海道の千歳市や熊本県の菊陽町・大津町など「半導体バブル」ともいうべき価格上昇を見せた地域もありました。また、高止まりを続けていた首都圏の既存マンション市場では価格の一服感が見え始めたものの、都心6区では依然として上値を追う高騰が続いており、外国資本の流入も相俟って実需との乖離傾向が懸念されます。
このような時流のなかで、おかげさまで我が全日本不動産協会は近年毎年2千社を超える新入会員をお迎えしており、全国の会員数がおよそ3万6,000社に到達しております。今後の人口減少社会の到来に伴い、自ずと不動産事業者の数も下降することが見込まれるなか、将来にわたり安定的に社会貢献と会員支援を続けて参るため、会費をもって運営できる堅固な組織基盤を構築すべく、令和8年度に向けて4万社を目標に鋭意会員増強を図っているところでございます。
昨年全面リニューアルした物件情報システム「ラビーネットBB」や、不動産業団体では先駆的な試みとして導入された入会手続等の電子申請システムなど、各種のデジタルソリューションによって会員皆様、そして社会に向けてさまざまな価値を提供しておりますが、その根底にあるのは、常に「人と人とをつなぐ」という不動産業の本質を見据えた取組みです。
そうした理念のもと、本会は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」のスペシャルパートナーとして協賛を行っております。未来のまちづくりや住まいのあり方、そして少子高齢化社会において我々不動産事業者が地域社会に果たす役割など、未来社会の礎となるような公益性の高い研究成果を披露すべく取り組んでおります。
より良い明日の社会のため、そして豊かな住生活を通じた温もりのあるコミュニティを形成するため、3万6,000有余の全国の会員皆様とともに力を尽くして参る所存です。本年も変わらぬご支援、ご高配を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。
結びとなりましたが、皆様にとりまして、本年も実り多き素晴らしい一年となりますこと、そして皆様のご健勝と益々のご発展を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。