新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます


斉藤 鉄夫

国土交通大臣

斉藤 鉄夫

新型コロナウイルス感染拡大からの3年間を乗り越え、我が国の経済状況は改善しつつありますが、一方で、昨今の物価高や、いわゆる「2024年問題」など、解決すべきさまざまな課題にも直面しています。国土交通省の行政分野においても、資材価格や住宅価格、自動車等の燃料価格が高騰し、また、物流や建設業における担い手の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっているため、関係省庁と連携しつつ、物価高対策、働き方改革、継続的な賃上げへの取組など、必要な対策を進めてまいります。

また、我が国では、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化により、毎年のように災害による深刻な被害が発生しています。これまでの防災・減災対策等により、被害の未然防止や大幅な軽減につながった事例も数多くありますが、今後とも、国民の生命・財産を守るという国土交通省の重要な使命を果たすべく、事前防災対策を含む防災・減災、国土強靱化を強力に推進してまいります。

このほか、厳しさを増す外交・安全保障環境、少子高齢化や人口減少などを踏まえ、多くの課題に対応していく必要があると考えています。国土交通省の現場を持つ強みを活かし、気象と防災、まちづくりと地域交通など、分野間の連携を通じて、組織の総合力を発揮してまいります。

なお、不動産業に関する重点項目は以下のとおりです。

①国民の安全・安心の確保

  • ・昨年5月に盛土規制法が施行され、都道府県等における早期の規制区域指定に向けて支援を行っています。

②持続的な経済成長の実現

  • ・昨年11月に成立した補正予算において「子育てエコホーム支援事業」を創設しました。物価高騰による影響を受けやすい子育て世帯等に対し、高い省エネ性能を有する、質の高い新築住宅の取得を支援していくとともに、住宅の省エネ改修等に対しても、環境省による高断熱窓の設置支援や経済産業省による高効率給湯器の設置支援と連携し、幅広く支援します。
  • ・住宅ローン減税については、住宅価格の高騰等の現下の住宅取得環境等に鑑み、令和6年限りの措置として、子育て世帯・若者夫婦世帯について借入限度額を維持する等の措置が講じられることとなりました。
  • ・不動産鑑定士については、令和7年地価公示において鑑定評価料を22年ぶりに引き上げるなど、処遇改善・担い手確保の取組を進めます。

③個性をいかした地域づくりと分散型国づくり

  • ・地方への人の流れの創出・拡大による地域の活性化を図り、個人の多様なライフスタイルを実現する二地域居住等を促進するための新たな法制度の整備に取り組みます。新たな働き方・住まい方への対応として、職住近接・一体の生活圏を形成するなど、「新たな日常」を実現するため、テレワーク拠点整備等を推進します。
  • ・誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向け、国土交通省、厚生労働省、法務省と3省合同で設置した有識者検討会での議論を踏まえ、住宅政策と福祉政策が一体となった住宅セーフティネット制度の強化に取り組みます。
  • ・住宅循環システムの構築に向け、良質な住宅ストックの形成、既存住宅流通市場の活性化、住宅取得・リフォームに対する支援に取り組みます。
  • ・昨年4月にスタートしたマンション長寿命化促進税制などを通じて適切な修繕工事を促進し、マンションの長寿命化を推進します。また、区分所有法制の見直しの状況も踏まえ、管理、修繕、再生の観点から、施策の具体化に向けた検討を進めます。
  • ・空き家対策については、昨年12月に改正空家法が施行され、空き家の除却等の促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の段階からの有効活用や適切な管理の確保に係る措置の創設などを行いました。空き家の除却・活用に係る取組に対する財政支援を引き続き実施するとともに、相続した空き家の譲渡所得の特別控除や「全国版空き家・空き地バンク」の活用促進等を図ります。
  • ・所有者不明土地対策については、土地政策推進連携協議会の開催等により、引き続き制度の周知や支援に取り組みます。また、空き家対策と所有者不明土地対策を一体的・総合的に推進することで、空き家・空き地の有効活用等を通じ、地域経済の活性化につなげます。さらに、空き地等の増加の懸念に対応し、非宅地化を含む最適な土地利用への転換や管理の在り方について検討を進めるとともに、人口、世帯数の減少等社会経済情勢の変化を踏まえた土地政策が政府全体として適切に取り組まれるよう、土地基本方針の改定を行います。

本年も、国土交通省の強みである現場力・総合力を活かして、国土交通行政における諸課題に全力で取り組んでまいります。本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、発展の年になりますことを心から祈念いたします。