新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます


中野 洋昌

国土交通大臣

中野 洋昌

昨年は、元日の能登半島地震、その被災地を襲った9月の豪雨災害をはじめ、各地で大規模な災害が相次ぎました。こうした災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

国土交通行政は、国民の命と暮らしを守り、我が国の経済や地域の生活・なりわいに直結しています。私自身、国土交通大臣として、現場の声によく耳を傾け、国民のみなさまのニーズにしっかり応えられるよう、全力で任務に取り組んでまいる所存です。

なお、不動産業に関する重点項目は以下のとおりです。

①国民の安全・安心の確保

・ 地震や豪雨等による自然災害からの復旧・復興に全力で取り組みます。

②持続的な経済成長の実現

・ 「子育てグリーン住宅支援事業」を創設しました。「GX志向型住宅」等の新築や、既存住宅の省エネリフォーム等に対し、環境省および経済産業省との連携を通じて幅広く支援します。住宅ローン減税については、子育て世帯等の借入限度額の上乗せ措置等が1年延長されることが閣議決定されました。

・ 脱炭素社会の実現に向け、改正建築物省エネ法に基づく本年4月からの省エネ基準適合の全面義務化に向けた準備を進めるとともに、ZEH水準の省エネ性能の高い住宅や、炭素固定に資する優良な中大規模木造建築物に対する支援等を行います。

・ 本年4月から大阪・関西万博が開催されます。万博を契機とした地方への誘客促進に取り組むとともに、安心安全な開催に向け、円滑な輸送の確保やセキュリティ対策に万全を期してまいります。

③地方創生2.0の推進

・ 国土形成計画に掲げた「新時代に地域力をつなぐ国土」の実現に向けて、地域の魅力を高め、地方への人の流れの創出・拡大を図ります。計画の実装に当たっては、二地域居住等の促進や地域生活圏の形成をはじめ、計画が描く将来ビジョンを国民全体で共有し、関係省庁とも連携しながら推進します。昨年成立・施行された二地域居住を促進するための改正法と、昨年設立された官民連携プラットフォームを活用し、二地域居住のさらなる促進に向けて取り組みます。新たな働き方・住まい方への対応として、職住近接・一体の生活圏を形成するなど、テレワーク拠点整備等を推進します。

・ 住宅セーフティネット法の円滑な施行や地域居住機能の再生を図る公営住宅等の供給支援に努め、住宅施策と福祉施策が一体となった住宅セーフティネット機能の強化等に取り組みます。

・ こどもや子育て世帯の目線や、住宅を起点とした「近隣地域」といった視点に立った「こどもまんなか」の生活空間を形成していきます。

・ 住宅循環システムの構築に向け、良質な住宅ストックの形成、既存住宅流通市場の活性化、住宅取得・リフォームに対する支援に取り組みます。

・ マンションの「2つの老い」の進行に対応するため、マンション政策小委員会における検討の結果を踏まえて、老朽化マンションなどの管理や再生の円滑化等に向けた施策の強化に取り組みます。

・ 空き家対策については、改正空家法に基づく「管理不全空家等」や「空家等管理活用支援法人」等の制度の活用を市町村等に促すとともに、財政支援、税制など、あらゆる方面から対策を進めます。また、昨年6月に公表した「不動産業による空き家対策推進プログラム」により、空き家等の流通促進に向け、不動産業が持つノウハウを活用したサービスの充実や業務の効率化を促進します。

・ 所有者不明土地対策については、その円滑な利用や適正な管理を図るための制度が地方公共団体や事業者等により有効に活用されるよう、土地政策推進連携協議会の開催等により、引き続き制度の周知や支援に取り組みます。

・ 土地基本方針に基づき、サステナブルな土地の利用・管理の実現に向けて、空き地にも着目した円滑な利用転換や適正管理に向けた地域の取組の環境整備など、新たな制度の創設を含め、必要な施策について検討を進めます。

・ 空き家対策と所有者不明土地対策を一体的・総合的に推進し、空き家・空き地の有効活用等を通じ、地域経済の活性化につなげます。

本年も国土交通省の強みである現場力・総合力を活かして、国土交通行政における諸課題に全力で取り組んでまいります。本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、発展の年になりますことを心から祈念いたします。