謹んで新春のお慶びを申し上げます

公益社団法人 全日本不動産協会
公益社団法人 不動産保証協会
理事長
中村 裕昌
皆様、晴れやかな心持ちでこの令和8年を迎えられたことと存じます。
昨年は会員の皆様をはじめ国土交通省・各自治体、有識者各位、そして友好諸団体皆様の厚いご支援のもと、4月13日の開幕から10月13日の閉幕まで半年間にわたり、2025年大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」に『みんな暮らしの街』をテーマとして出展事業を展開することができました。
この万博出展事業は、少子高齢化のもと、ひとり暮らしがますます増えていくなか、我々宅地建物取引業者が「まちの相談士」として、あるいは「住まいのかかりつけ医」として、地域の人々をつなぎ、その暮らしを支えながら共助の社会を形づくっていくという意志を込めたものです。会期中延べ553万人に及ぶ多数の方々の来場を得て、大いに全日本不動産協会のビジョンを示すことができました。あらためまして、皆様のご理解とご支援に感謝を申し上げます。
さて、昨年12月の日銀政策決定会合において0.25%の追加利上げが決まりましたが、この利上げはおよそ為替相場には響かず、足もとではなおも円安基調が続いております。この結果、急激な下落を見せる国債価格に比して、とりわけ投資マネーが流入しやすい都心部をはじめとした不動産価格は依然として右肩上がりの状況にあります。物価高とその要因である行き過ぎた円安に歯止めを掛けるため、市場に対し、もう一段上のインパクトを与える必要があるのは衆目一致の事実です。今後さらなる利上げも十分に予測されるなか、住宅ローンを抱える層、あるいはこれから住宅の購入を欲する層への影響は日増しに高まっているところです。
そうしたなか、同じく昨年末には高市政権下において初めての税制改正大綱が示され、本会がかねてより要望してきた既存住宅に対する床面積要件の引下げが実現するなど、既存住宅について要件拡充・控除上限額拡張・控除期間延長等のプランが盛り込まれました。新築不動産価格の著しい高騰を踏まえると、既存住宅市場は今後益々隆盛の流れを辿ることは間違いないでしょう。このため、今般の税制改正大綱は、消費者のみならず我々不動産流通事業者にとっても大きな追い風であり、また力の見せどころにもなると感じます。
他方で、従来は新築住宅を対象としていたZEH等の省エネ性能基準を、そのまま既存住宅に適用することについては、実効性の確保の面で懸念もあると言わざるを得ません。既存住宅においては、事後的に基準に適合させるためのスキームの開発や、そのための財政的支援策の拡充、そしてまたその施工を担う人材の継続的な育成も不可欠であると考えます。
建築コストの高騰にさらされる今、既存のものを取り壊し、新しい建物を建てるという手法だけでは、もはや健全な市場環境は成り立たなくなっています。そのため、本会としても良質な既存住宅の維持と流通の促進に、これまで以上に積極的に貢献していく所存です。
このため、本年においても、全日みらい研究所により「2050年に向けたまちづくり政策」をテーマとした調査研究を継続して進めるとともに、昨年より本格始動した「全日ラビー空き家相談ネットワーク」をプラットフォームとして全国の自治体や空き家見守りサービス事業者らと連携しながら、空き家・空き地等の利活用に活路を見出してまいります。
人口減少・少子高齢化が進むなかにあって、今こそ不動産業を“取引の業”から“暮らしを支える業”へと進化させる必要があると考えています。この点で、目下、全国に3万8,000有余の会員を擁し、さらに令和8年度において4万社の達成を目指す我が全日本不動産協会が果たすべき役割、そしてまた会員の皆様に寄せられる期待の度合いは年を追うごとに大きくなっています。ぜひとも、風檣陣馬(ふうしょうじんば)の如くこの一年を駆け抜けていただきたいと存じます。
結びとなりますが、皆様にとりまして、本年も実り多き素晴らしい一年となりますこと、そして皆様のご健勝と益々のご発展を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。