新年のはじまりに当たって
赤羽 一嘉 国土交通大臣
令和3年という新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます
国土交通大臣
赤羽 一嘉
昨年9月に菅内閣が発足し、引き続き国土交通大臣の任に当たることとなりました。本年も国土交通行政に対する皆様の変わらぬ御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。
現在我が国は、昨年からの新型コロナウイルス感染拡大により社会経済や国民生活へ甚大な影響を受けており、国難とも言える状況に直面しております。加えて、毎年のように全国各地で発生する大規模な自然災害による深刻な被害の発生や、少子高齢化、人口減少による地方の過疎化の進行など多くの課題に直面しているところです。
これらの影響は、テレワーク、ワーケーションといった働き方の変化や2拠点居住、地方移住といった住まい方の変化をもたらし、ひいては、国民一人一人の人生の価値観そのものが大きく変わることも予想されます。事実、東京からの転出人口が、転入人口を上回る現象が5カ月連続で続いていることも、予兆の1つだと思われます。
このような大きな変化に対応し、国土交通省本来の使命である「国民の命と暮らしを守る」ための国土交通行政を遂行するため、生活様式の変化に対応した「新たな日常」を実現し、日本の活力につなげていけるよう全力で取り組んでまいります。
令和3年度税制改正においては、住宅ローン減税について、契約期限と入居期限を1年延長し、令和4年末までの入居者に控除期間13年の措置を適用するほか、住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の拡充や、これらの特例に係る床面積要件を50㎡以上から40㎡以上へと緩和する等の措置を講じたところです。
予算上の措置としても、令和2年度第3次補正予算案に、高い省エネ性能を有する住宅を取得する者等に対して、商品や追加工事と交換できるポイントを発行するグリーン住宅ポイント制度を盛り込みました。
また、令和3年度は、土地の固定資産税の評価替えの年であり、新型コロナウイルス感染症の影響により、経済状況、事業者の経営環境及び家計の所得環境が悪化する中、固定資産税の負担増が収束後の経済の力強い回復の支障となるおそれがあります。
そこで、令和3年度税制改正において、土地に係る固定資産税について、現行の負担調整措置等を3年間延長するとともに、令和3年度は、評価替えを行った結果、課税額が上昇する全ての土地について、令和2年度税額に据え置くこととなりました。
デジタル化については、インフラ・物流分野等におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)や関連する取組を推進してまいります。
空き家対策については、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、個々の地方公共団体が行う指導・助言、行政代執行等の措置や、空き家の除却・利活用等に対する支援などに積極的に取り組んでいるところです。さらに、空き家等の流通・マッチングや再生を図るため、「全国版空き家・空き地バンク」の活用を促進し、空き家の利活用・流通促進に取り組んでまいります。
また、昨年法制化した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」におけるサブリース規制の新たなルールについて、建設・不動産などの関係業界や賃貸住宅のオーナーの方々への周知を徹底し、サブリース契約をめぐるトラブルの未然防止を図るとともに、本年6月予定の賃貸住宅管理業登録制度のスタートに向けた準備をしっかりと進めることで、サブリースを含む賃貸住宅管理業の適正化を図ってまいります。
所有者不明土地等問題への対応は、防災・減災の観点からも重要です。このため、昨年3月に成立した改正土地基本法等に基づき、具体的施策を着実に展開してまいります。今後は、改正土地基本法において明確化された土地の適正な「管理」に関する理念等について周知を進めるとともに、所有者不明土地の発生予防等の観点から重要となる管理不全の土地・低未利用土地対策等について、地方自治体や関係団体、有識者等の土地に関連する様々な方々の意見を伺いつつ、平成30年に成立した「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の施行後3年経過の見直しのタイミングに向けて、必要な制度の拡充や見直しについての検討を進めてまいります。
本年も「現場主義」を徹底し、諸課題に全力で取り組んでいく所存です。国民の皆様の一層の御理解、御協力をお願いするとともに、本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心から祈念いたします。