令和4年という新年を迎え、謹んで新春の御挨拶を申し上げます


斉藤 鉄夫

国土交通大臣

斉藤 鉄夫

昨年10月に発足した第1次岸田内閣において国土交通大臣を拝命し、同年11月に発足した第2次岸田内閣においても、引き続き国土交通大臣の任に当たることとなりました。本年も国土交通行政に対する皆様の変わらぬ御理解と御協力を宜しくお願い申し上げます。

昨年からの新型コロナウイルス感染拡大は、依然として我が国の社会経済や国民生活へ甚大な影響をもたらしております。引き続き感染防止対策を行いつつ、通常に近い社会経済活動と国民の皆様が安心して暮らせる日常を取り戻すため、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。

我が国は、気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化により、毎年のように深刻な被害が発生しています。私自身、平成26年に発生した地元広島市での大規模土砂災害や、平成30年7月豪雨をはじめ、実際に災害の現場に入り、その被害を目の当たりにし、また、被害に遭われた方々の声を聞いてまいりました。この中で、災害により犠牲となる方を少しでも減らすことこそが政治の役割であるという想いを強く抱き、これを忘れずに政治家として活動を行ってまいりました。今回、国土交通大臣を拝命し、国土交通省の持つ役割、すなわち、災害を防ぎ、国民の生命・財産を守るという極めて重要な役割を前にし、この想いを新たにしております。

また、我が国は、少子高齢化や人口減少に伴い、経済が停滞したり、生活利便性が低下しかねないという厳しい状況に直面しております。さらに、かつて環境大臣を拝命した際にも取り組ませていただいた温暖化対策は、今や、地球規模での喫緊の課題となっております。

今あらためて、政府として、国民の皆様の将来への不安を解消し、未来への希望が持てるようにすること、国民の皆様に広く成長の果実を行きわたらせること、一人一人の多様性が尊重され、全国津々浦々の地域の多様な魅力が発揮される社会や経済を実現していくことが求められていると実感しております。

このため、今後、政府一丸となって、国民の皆様と丁寧に、そして誠実に対話し、小さな声ひとつひとつをよく聞き、真摯に受け止めるとともに、国土交通行政において、現場を持つ強み、技術力を活かして、施策の立案・実行に全力で取り組んでいく所存です。

なお、不動産業に関する重点項目は以下のとおりです。

●住宅投資の喚起に向けた取組

  • ・令和4年度税制改正において、住宅ローン減税については、適用期限を4年間延長した上で、控除率を0.7%に、控除期間を13年として子育て世帯等中間層に対する支援を充実させるとともに、借入限度額の上乗せにより環境性能等の優れた住宅への誘導機能を強化します。

●安心して暮らせる住まいの確保

  • ・セーフティネット登録住宅の入居者負担軽減に対する支援や、見守り等の活動に取り組む居住支援法人等への支援など、地方公共団体等と連携して住宅セーフティネット機能の強化等に取り組むとともに、子育て世帯の住宅取得・リフォーム支援にも取り組みます。
  • ・長期優良住宅の普及促進等による住宅の質の向上や、安心R住宅、住宅瑕疵担保責任保険、インスペクション等の普及促進により、既存住宅流通市場の活性化に取り組みます。
  • ・空き家対策については、個々の地方公共団体が行う指導・助言、行政代執行等の措置や、空き家の除却・利活用等に対する支援などに積極的に取り組み、「全国版空き家・空き地バンク」の活用を促進し、空き家の利活用・流通促進に取り組みます。
  • ・「マンションの管理計画の認定制度」と「敷地分割制度」が4月1日から施行されます。新たな制度の周知や管理計画の認定の手続きが円滑に行われるよう準備を進めます。

●豊かな田園都市国家の形成に向けた国土づくり 

  • ・デジタルを前提とした国土の再構築を進める新たな国土形成計画を策定します。
  • ・二地域居住等を推進するとともに、ポストコロナに向けた民需主導の好循環の実現のため、新しい働き方・住まい方に対応したテレワーク拠点等を整備します。
  • ・生活サービス機能と居住を拠点に誘導し、公共交通で結ぶコンパクト・プラス・ネットワークについては、引き続き、省庁横断的な枠組を通じて支援施策の充実、モデル都市の形成・横展開、取組成果の見える化を進め、市町村の取組を支援します。
  • ・まちの資源を最大限に利活用し、エリア価値を向上させることにより、ウォーカブルなまちづくりに取り組みます。
  • ・「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」について改正法案の提出を目指します。
  • ・離島や豪雪地帯など、生活条件が厳しい地域や北方領土隣接地域に対しては、引き続き生活環境の整備や地域産業の振興等の支援を行います。

本年は、ポストコロナの新たな経済社会への転換に向け、諸課題に全力で取り組んでいく所存です。国民の皆様の一層の御理解、御協力をお願いするとともに、本年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを心から祈念いたします。