Vol.17 DXとは何か


不動産テック時代の到来 進む!業界のIT化

最近よく聞く「DX」という言葉。

今後は6回にわたり、「DXとは何か」「不動産業界でDXが求められている理由」「DXに失敗しないためのコツ」「毎月の売上をコントロールできる会社とDX」「10年後に生き残る不動産会社とは」「不動産業界全体のDXを阻むもの」という内容でお伝えします。

■ DXが注目を集めたきっかけ

2020年は、とにかくDX(=デジタル・トランスフォーメーション)という言葉をよく聞く1年でした。DXとは、経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

DXという言葉が最初に大きな注目を集めたのは、2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開」というレポートです。この中では、日本がDXを実現できない場合、2025年以降には年間最大12兆円の経済損失が生まれ、デジタル時代の敗者となるという衝撃的な内容が記載されていました。

DXを実現できるかどうかが、日本の今後を左右する
DXを実現できるかどうかが、日本の今後を左右する

■ DXに至るまでの3つのステップ

実は世の中でDXと呼ばれているものの中には、厳密な意味でのDXに至っていないものが非常に多く存在しています。真のDXに至るには3つのステップを経る必要がありますので、段階的にご説明しましょう。

1つ目のステップは「デジタイゼーション」と呼ばれます。「デジタイゼーション」とは、今まで紙でやりとりしていたものをデータ化したり、手作業でしていたことをRPA(Robotic Process Automation)で自動化できるようにしたり、仕事の進め方をデジタル化することを指します。

2つ目のステップは「デジタライゼーション」と呼ばれます。「デジタライゼーション」とは、デジタイゼーションしたデータを部署間で連携させ、事業全体をデジタル化することを指します。

そして3つ目、デジタイゼーション、デジタライゼーションを経て、会社全体や世の中全体をデジタル化することをDXと呼ぶのです。

DXの本質を理解するためには、この3つの違いを認識する必要があります。

■ DXがなぜ必要なのか

DXがなぜ今の日本に必要なのでしょうか。その理由は「他社に生産性で勝つため」「他社に顧客体験で勝つため」という2点に集約されます。

1点目の「他社に生産性で勝つため」については、世界規模で考える必要があります。1989(平成元)年の時点では、世界の時価総額ランキング上位50位の中に日本企業が30社ほどランクインしていました。ところが近年、世界の時価総額ランキング50位以内に入る日本企業はトヨタ自動車だけという状況が続いています。また2021(令和3)年1月現在、世界1位の時価総額を誇るApple社は、1989(平成元)年に世界1位であったNTTの当時の時価総額と比べ、約14倍の時価総額となっています。海外の企業が生産性を大きく伸ばしていることがわかります。

我々が日々の生活で利用するサービスに目をとめると、GoogleやAmazonなど、海外企業のサービスがその多くを占めるのではないでしょうか。そのような海外企業はデジタル技術に莫大な投資を行い、生産性を高めているのです。日本企業が海外企業に肩を並べるためには、日本企業もデジタル技術に投資を行い、生産性を上げる必要があります。

2点目の「他社に顧客体験で勝つため」については、商売の基本のアップデートを考えることが大切です。商売繁盛のためには顧客ニーズを捉える必要があります。しかし現代では、多くの企業がすでに顧客ニーズを捉えた商品開発やサービス開発を行っており、単に顧客ニーズを捉えただけでは勝つことができません。ニーズに加え、サービス利用時の体験をより良いものにする必要があるのです。これまでは、顧客ニーズを把握するためにアンケート調査を行っている企業がほとんどでした。しかしアンケート調査では、大まかな顧客ニーズはわかるものの、実際にどれくらいの人数の顧客が、どれくらいサービスを利用しているかを知ることはできません。

しかしDXを進めている企業では、会社全体で顧客データ、商品データを連動させ、日ごとに顧客体験の実態を把握することができます。つまり顧客体験を向上させるために行った施策の結果を毎日知ることができ、高速でニーズの最適化を行い続けることができるのです。

DXは「他社に生産性で勝つため」「他社に顧客体験で勝つため」に必要
DXは「他社に生産性で勝つため」「他社に顧客体験で勝つため」に必要
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針山 昌幸

株式会社Housmart
代表取締役

針山 昌幸

大手不動産会社、楽天株式会社を経て、株式会社Housmartを設立。テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、売買仲介向けの顧客自動追客サービス「プロポクラウド」を展開する。著書に『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』(実業之日本社)など。