Vol.24 2022年に不動産DXが必要なわけ


不動産テック時代の到来 進む!業界のIT化

2022年以降はコロナ禍をも超える変化が起きると言われています。激動の2022年以降を生き残るためには、どうすれば良いのでしょうか。今後起こる変化と、不動産DXについてお伝えします。

■ 2014年からの好景気がついに終わる

2022年3月にアメリカのパウエルFRB議長は議会証言で、インフレ対策として0.25%の利上げを提案しました。今後、2022年に4〜5回、2023年にも複数回の利上げがあると言われています。アメリカの金利上昇は、言うまでもなく株価の下落に繋がります。

日本においても2021年9月末から、経済の先行きの不透明性に対して市場の危機感が増したことにより、株価は下落の一途をたどっています。アメリカの金利上昇によって海外の投資家が引き上げると、日本市場は相当のダメージを負うことになります。

NISA、個人型確定拠出年金、株式ロボアドバイザーなどにより、貯蓄を投資に回すことは一般的になりつつあります。しかし株価下落によって含み損を抱えた人が多くなると、不動産の購入意欲は下がってしまいます。

また不動産価格が株式市場と動きを合わせて下落した場合も、購入意欲の低減に繋がります。本当は価格が下がっているときほど買い時、という見方もできますが、なかなか一般の方々にとっては価格下降局面での購入の意思決定はできません。

輸入小麦や原料費等の大幅値上げによる、食品、生活用品の値上がりも見逃せません。家計への影響が大きいため、消費行動自体が抑制される可能性が高いと言えます。

■ 2022年はチャンスも大きい年

一方、暗いニュースばかりではありません。2022年に起きる変化として、4月の個人情報保護法改正によるデータ利活用の拡大、5月の宅地建物取引業法改正による電子契約本格化が挙げられます。

日本は景気の変動を抜きにして、中長期で見れば人口減という避けられない運命にあります。人口が減っていく中で売上げを維持・拡大するためには、「量」を増やそうとするのではなく、「やり方」を変えて、実質的な見込み顧客を増やしていく必要があります。2022年をチャンスの年に変える可能性がある、代表的な不動産DXサービスを紹介します。

2022年に不動産DXが必要なわけ

■ 顧客をファン化するシステム「PropoCloud(プロポクラウド)」

不動産売買においては、成約をしないと不動産会社の収入にはなりません。だからこそ「いますぐ買ってくれる顧客」に集中しがちですが、それでは人口減の中で売上げの不確実性は増すばかりです。

プロポクラウドは、不動産の購入や売却を考えている顧客に対して、物件入力の手間なく、不動産エージェントの名前で「今売りに出ている物件」をメールで提案してくれます。物件提案は、どのエージェントも「やった方がいい」とは認識しながらも、手間がかかるがゆえになかなか抜け漏れなく行うことが難しい仕事です。プロポクラウドは独自のデータベースによって、この提案業務を巻き取ってくれるシステムです。

顧客からすると、一番知りたい情報であるリアルタイムな物件情報を抜け漏れなく教えてくれるので「自分のために頑張ってくれている」という感情が不動産エージェントに対して生まれ、その不動産エージェントのファンになってくれます。いままでは売上げに繋げることが難しかった「いますぐの客以外」をファン化し、見込み顧客に変えることができます。

■ 不動産業界のスタンダードになるかもしれない「RELEASE(レリーズ)」

2022年5月に宅地建物取引業法が改正され、不動産売買においても電子契約が本格化していきます。RELEASE(レリーズ)は改正後の6月以降にサービス開始予定で、不動産業界のスタンダードになる可能性を秘めています。

レリーズでは、売買契約に加えて、物件登録から引渡しまでの一連の取引において発生する契約手続きを実施可能。電子署名を実施する書類に加え、捺印が不要な書類や、その他取引にかかる書類も、物件・案件ごとに整理して管理・閲覧・ダウンロードが出来ます。従来の契約書作成業務はそのままに、捺印手続きと書類管理をレリーズに置き換えて取引業務を推進することが可能です。いち早く契約の電子化を進め、対応していることを顧客に訴求することで、他社との差別化に繋がる可能性があります。

これまでの不動産業界は「会った後にいかにクロージングするか」という思考が一般的でした。しかしスマートフォンによって情報検索・情報収集が浸透しきった現在では、勝負は「会う前に決まっている」と言えます。不動産DXは、まさに会う前から勝負をしかけるための方法といえます。

2022年に不動産DXが必要なわけイメージ
次世代コミュニケーションPropoCloud

針山 昌幸

株式会社Housmart
代表取締役

針山 昌幸

大手不動産会社、楽天株式会社を経て、株式会社Housmartを設立。テクノロジーとデザイン、不動産の専門知識を融合させ、売買仲介向けの自動追客システム「プロポクラウド」を展開する。著書に『中古マンション本当にかしこい買い方・選び方』(実業之日本社)など。