労務相談
2022.09.14

Vol.10 新設される産後パパ育休制度と分割取得できる育児休業制度
【法改正対応】


Question

男性社員より、2022年11月5日に子どもが生まれる予定との申出がありました。それに伴い11月と12月にそれぞれ2週間の育児休業を取得する予定とのことです。また、時期は不明ですが、2023年にも育児休業を取得するようですが、会社として複数回の育児休業を認めなくてはならないでしょうか。

Answer

2022年10月からの育児・介護休業法(以下「育介法」)の改正により、子が1歳に達するまでの間に2回の育児休業(通常の育児休業)の取得が認められるようになります。また、通常の育児休業とは別に、「出生時育児休業(産後パパ育休)」が新設されることで、男性社員については、子の出生後8週間以内に最大4週間まで、休業(2回の分割取得可)することが可能となりました。

はじめに

2022年4月以降は事業主に対し、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置(研修の実施、相談窓口の設置、事例の収集・提供、取得促進方針の周知)を義務づけたり、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の制度周知・休業取得意向の確認措置を義務づけたりするなど、実務対応に悩まされている企業も多いと思われますが、男性の育児休業の取得促進を目的とした新制度の創設、および育児休業の分割取得を可能とする法改正が10月から施行されます。

育児休業の分割取得と柔軟化

これまでは、子が1歳に達するまでに1回に限り育児休業を取得できるというものでしたが、改正により、子が1歳に達するまでに2回まで分割して取得することが可能となります。

また、保育所に入園できないなどの理由により、休業期間を1歳半まで(最長2歳まで)延長する場合について、現状では延長開始日を1歳または1歳半の時点に限定していましたが、これを柔軟化し、1歳から1歳半まで、1歳半から2歳までの各期間の途中で夫婦が交代して育児休業を取得することが可能となります。

出生時育児休業(産後パパ育休)とは

新設される出生時育児休業(産後パパ育休)は、男性の育児休業取得促進のために、育児休業の取得ニーズが高い、子の出生直後の時期に、これまでの育児休業よりも柔軟で休業を取得しやすい枠組みとして、通常の育児休業とは別のものとして創設されます。

内容としては、産後休業をしていない労働者(父親、養父母等)が、出生後(出生日または出産予定日のいずれか遅いほうから)8週間以内に最大4週間(28日)まで休業することができます。2回に分けて取得することができますが、分割取得する場合も申出は一度に行います。

また、出生後8週間以内に4週間を超えて休業する場合(例えば、出生日の翌日から連続6週間の休業を取得する場合)や、出生後8週間以内に2週間の連続休業を3回に分けて取得する場合の3回目の休業については、出生時育児休業ではなく、通常の育児休業を取得するものとなりますが、出生時育児休業、通常の育児休業のどちらとするかは、労働者自身が選択するものとなります。

なお、10月1日が施行日であることから、出生時育児休業の申出については、10月以降に行うことが基本となります(図1、2)。

図表1:育児休業制度比較

育児休業制度比較

図表2:改正後の働き方・休み方のイメージ

改正後の働き方・休み方のイメージ
出典:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」より抜粋

出生時育児休業期間中の一部就業

出生時育児休業については、労使協定を締結した場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能となります。ただしその場合でも、就業可能日・時間数には、以下の2つの制限が設けられます。

1 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分以下

2 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間未満

休業期間中の一部就業については、労使共にメリットがある一方で、上司等が強引に休業希望者の同意を得て就業させてしまうとハラスメントに該当することから、導入には労使間で慎重に検討する必要があります。

育児休業期間中の社会保険料の免除

以下のいずれかの要件を満たしていれば、育児休業期間(出生時育児休業含む)中の各月の月給に係る社会保険料は、被保険者・事業主負担分ともに免除されます。

1 その月の末日が育児休業期間中である場合(月末の数日のみ休業の場合など)

2 同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合(14日以上の日数には、出生時育児休業期間中の就業日は含まれません)

なお、賞与に係る社会保険料については、連続して1カ月を超える育児休業を取得した場合に限り免除されます。よって、育児休業期間が12月1日~12月31日までの1カ月間である場合、12月支給の賞与に係る社会保険料は免除されません。

本件への回答

2022年11月5日が出産予定日である場合、産後8週間は2022年12月31日までとなりますので、当該男性社員は、11月と12月にそれぞれ2週間、計4週間の出生時育児休業を取得することができます。

また、2023年11月4日が子の1歳到達日となりますので、それまでの間に出生時育児休業とは別に2回の育児休業を取得することが可能です。さらに、子の1歳到達日時点で保育園等に入園できないなどの事情がある場合には1歳半まで、子の1歳半到達日時点で特別な事情がある場合には2歳まで、育児休業の延長・再取得が可能です。


野田 好伸

社会保険労務士法人
大野事務所パートナー社員

野田 好伸
(特定社会保険労務士)

大学卒業後、社労士法人ユアサイドに入所し社労士としての基本を身に付ける。その後6年の勤務を経て、2004年4月に大野事務所に入所する。現在はパートナー社員として事務所運営を担いながら、人事労務相談、人事制度設計コンサルティングおよびIPO支援を中心とした労務診断(労務デュー・デリジェンス)に従事する。