労務相談
2024.01.12

Vol.26 派遣労働者の受入れ期間の制限 〈前編〉

派遣労働者イメージ

Question

2年前より経理担当として派遣労働者を受け入れていますが、受け入れ期間に3年の制限があると聞きました。業務内容を変更すれば、引き続き3年を超えて当該派遣労働者を受け入れることが可能とのことですが、現在行っていない別の経理業務に変更すれば継続することが可能でしょうか。

Answer

同一の派遣労働者を同一の組織単位で受け入れられる期間の上限は3年となっているため、当該派遣労働者に対しては、①3年の制限期間にて受け入れを止める、②直接雇用に切り替える、③業務内容を変更のうえ引き続き派遣労働者として受け入れる、のいずれかの措置を講じる必要があります。
なお、業務内容を変更する場合には、いわゆる課やグループを変更するなどして、経理以外の業務に変更する必要があります。
今回は前編・後編の2回に分けて解説します。

はじめに

労働者派遣法(以下、派遣法)では、派遣の受入れ期間の制限ルールが設けられており、すべての業務において「事業所単位」と「個人単位」の2つの期間制限が適用されます。

派遣先事業所単位の期間制限

派遣先は、同一の事業所において、原則として3年(派遣可能期間)を超える期間、継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。ただし、派遣可能期間である3年が終了する1カ月前までに、派遣先事業所の過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴いた場合は、原則の3年を超えて派遣労働者を受け入れることができます。その際の延長期間は最長3年ですが、当該延長手続きを3年ごとに行うことで継続して受け入れることが可能となります(図表1)。

図表1 事業所単位の期間制限

図表1 事業所単位の期間制限

ここでの「同一の事業所」は、雇用保険の適用事業所単位ということになりますので、複数の事業所を有している場合でも、雇用保険の適用事業所が1つである場合、全事業所まとめて同一の事業所となります。

派遣労働者個人単位の期間制限

派遣先は、同一の組織単位(組織単位ごと)の業務に関し、3年を超える期間、継続して同一の有期雇用派遣労働者について労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません(図表2)。

図表2 個人単位の期間制限

図表2 個人単位の期間制限
出典:厚生労働省・都道府県労働局「平成27年労働者派遣法改正法の概要」

なお、同一の組織単位であれば、当該有期派遣労働者の業務内容が変わったり、派遣会社(派遣元)が変わったりしても同一の有期派遣労働者となります。

事業所単位の期間制限とは異なり、同一の組織単位での延長手続きは設けられていないため3年の上限を遵守する必要がありますが、3年が経過した同一の有期派遣労働者を「別の組織単位」で引き続き受け入れることは可能です(この場合、事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提となります)。

「同一の組織単位」とは、具体的には、課、グループ等の業務としての類似性や関連性がある組織であり、かつ、その組織の長が業務の配分や労務管理上の指揮監督権限を有するものであって、通常、組織の最小単位よりも大きな単位を想定していますが、名称にとらわれることなく実態により判断されます。なお、次に掲げる場合は例外として、個人単位の期間制限がかかりません。

【個人単位の期間制限の例外】
・ 派遣労働者が派遣元で無期雇用労働者である場合
・ 派遣労働者が60歳以上である場合
・ 終期が明確な有期プロジェクト業務について派遣労働者を受け入れる場合
・ 日数限定業務(1カ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの) について派遣労働者を受け入れる場合
・ 産前産後休業、育児介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を受け入れる場合

※ 後編では、派遣終了後に再び派遣を受け入れる場合のクーリング期間、労働契約申込みみなし制度、離職した労働者の派遣受け入れの禁止などについて解説します。


野田 好伸

社会保険労務士法人
大野事務所代表社員

野田 好伸
(特定社会保険労務士)

大学卒業後、社労士法人ユアサイドに入所し社労士としての基本を身に付ける。その後6年の勤務を経て、2004年4月に大野事務所に入所する。現在は代表社員として事務所運営を担いながら、人事労務相談、人事制度設計コンサルティングおよびIPO支援を中心とした労務診断(労務デュー・デリジェンス)に従事する。