賃貸相談
2022.01.14

Vol.41 サブリース契約の説明事項


Question

オーナーの方から、賃貸マンションのサブリースの御依頼を頂き、オーナー様とマスターリース契約を締結することになりました。当社は20年間家賃保証を掲げており、『期間内の解約も6カ月前に予告すればオーナー様も当社も解約が可能』とのひな型を用いております。
サブリース契約については、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が制定され、令和2年にサブリースに関する規定が施行されたと聞きましたが、20年間家賃保証と、6カ月前の期間内解約条項については、広告や契約締結時に何か留意しておくべき事項があるのでしょうか。

Answer

令和2年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。この法律は、賃貸住宅管理業者の登録規制とともに、令和2年12月15日から施行されていますが、①誇大広告の禁止(同法28条)と②契約締結前の重要事項の説明及び書面交付(同法30条)その他の規定が設けられており、誇大広告の禁止の内容として、「○年家賃保証」と表示しながら、その後の減額の可能性に言及しないものや、実際には借地借家法が適用され、オーナーからは正当事由がなければ解約できないにもかかわらず、「〇カ月前の予告で解約可」とする広告は認められておりません。

また、契約締結前の重要事項の説明においても、家賃の減額の可能性や、期間内解約の制限について、正確に説明することが求められることになりました。また、契約締結前の重要事項の説明は、契約締結より1週間程度前に行うことが望ましいとされています。

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の制定

令和2年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下「賃貸住宅管理業法」)が成立し、同月19日に公布されました。この法律は、大別して、賃貸住宅管理業務に関する規制と、いわゆるサブリースに関する規制に分かれ、サブリースについては、オーナーとサブリース事業者との間で締結される、いわゆるマスターリース契約の適正化について規定され、令和2年12月15日から施行されています。

(1)マスターリース契約の適正化に関する規定

賃貸住宅管理業法では、サブリース事業者に対し、①誇大広告の禁止(同法28条)、②不当勧誘の禁止(同法29条)、③契約締結前の重要事項の説明及び書面交付(同法30条)、④契約締結時における書面交付(同法31条)等について定めています。

(2)誇大広告の禁止

誇大広告とは、実際の契約条件よりも著しく優良若しくは有利と見せかけ契約の相手方を誤認させるものをいいますが、その一つに「著しく優良若しくは有利であると誤認させる表示」があり、その例示として、ガイドラインでは、家賃保証や期間内解約等に関する条項が挙げられています。

•家賃保証に関するもの

「○年家賃保証!」と表示しているのに、契約期間内に定期的な家賃の見直しや借地借家法に基づきサブリース業者からの減額請求が可能であるにもかかわらず、その旨を表示していないものがこれに該当するとされています。

•期間内解約に関するもの

 契約期間中であっても業者から解約することが可能であるにもかかわらず、その旨を記載せずに「30年一括借り上げ」「契約期間中、借り上げ続けます」「建物がある限り借り続けます」といった表示をしているもの

 実際には借地借家法が適用され、オーナーからは正当事由がなければ解約できないにもかかわらず、「いつでも自由に解約できます」と表示しているもの等が挙げられています。御社の場合、「20年間家賃保証」と広告すること自体は問題ありませんが、同時に賃料の減額や期間内解約があり得るということを表示する必要があります。また、オーナー側の期間内解約は正当事由を具備しなければ認められないことについても同様です。

(3)契約締結前の重要事項説明

賃貸住宅管理業法では、マスターリース契約締結前に、オーナーがマスターリース契約を締結する旨の意思決定をする上で重要な事項は、予め説明することを義務づけています。上記の家賃保証や期間内解約については、重要事項説明で説明しておくことが求められます。なお、この重要事項の説明は、契約締結の約1週間前に行うことが望ましいとされています。

サブリース契約のイメージ

サブリース契約のイメージ

今回のポイント

  • マスターリース契約については賃貸住宅管理業法による契約の適正化に関する規定が適用されることとなった。
  • サブリース事業者は、家賃保証を広告する際には、保証賃料が減額される可能性について表示する必要があり、オーナーからの期間内解約に借地借家法に基づく正当事由の制限があることを表示する必要がある。
  • サブリース事業者は、契約締結前の重要事項説明においても、家賃保証をする場合には保証賃料が減額される可能性と、期間内解約についてはオーナーには借地借家法に基づく正当事由の制限があることを説明することが義務づけられた。
  • 賃貸住宅管理業法に基づく契約締結前の重要事項の説明は、契約締結の1週間前など、オーナーが十分に内容を理解できるだけの時間的余裕をもって行うことが望ましい。

江口 正夫

海谷・江口・池田法律事務所
弁護士

江口 正夫

東京弁護士会所属。最高裁判所司法研修所弁護教官室所付、不動産流通促進協議会講師、東京商工会議所講師等を歴任。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会理事。著書に『不動産賃貸管理業のコンプライアンス』『大改正借地借家法Q&A』(ともに にじゅういち出版)など多数。