省エネ性能表示制度の環境整備を議論
業界参画の仕組み整理を
勧告は段階的措置を検討


建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示について新たなルールづくりが進められている。昨年6月に公布された改正建築物省エネ法に伴う対応で、新たな表示制度は今春公布、24年の施行見込みだ。国土交通省が22年12月21日に開いた第2回検討会では、同制度の円滑な施行に向けた環境整備などについて意見が交わされた。

事務局では同制度の円滑な施行に向けて、販売・賃貸事業者における具体的対応として、自ら広告表示を行う場合と、自ら広告表示を行わずに事業者間で情報伝達する場合、あるいはレインズ等のBtoBに自ら物件情報を登録する場合の3パターンを想定しているとした。

また、法令関係や制度の実施、関係者との調整・協力依頼など必要な環境整備を図る方針。加えて、関係事業者団体と連携した事業者ヘの周知や消費者への浸透、さらに制度施行と合わせた表示の取り組みの加速化や、事業者へのインセンティブ設計、ラベル取得の円滑化の取り組みの必要性などが示された。

そして、施行後の事業者における表示実態を把握するため、大手供給事業者を対象とした取り組み状況の報告聴取やサンプル調査、消費者からの情報提供を受け付ける窓口の整備などの案を提示した。表示制度に取り組む販売・賃貸事業者がポジティブに評価されるよう、表示状況を情報発信できる共通プラットフォームの整備も検討する。

中長期での課題整理も

また、対象となる事業者が広く、情報伝達の経路にも複雑さを有する同制度の特徴に鑑み、施行から当面の間は、告示に従った表示を行っていない事業者に対する勧告は、社会的影響が大きい場合を対象とする考えを示した。委員からは、「新築戸建てや賃貸住宅などで消費者に伝えるには仲介会社の対応が不可欠。時間軸をずらした体制づくりが必要ではないか」「宅建業者としてどこまでやればいいかを調整したうえで周知すべき」など周知・理解促進等に関する意見が出された。事業者の表示漏れや表示内容の誤り等の未然防止策を短期的に進めると共に、中長期では不動産の公正競争規約に盛り込むなど、不動産公正取引協議会等の関係団体と連携した対応なども検討課題となりそうだ。

(『住宅新報』2023年1月17日号より抜粋・編集)