既存住宅耐震改修特例も延長措置
新型コロナ受け、経済対策 ローン減税、要件を緩和


新型コロナウイルス感染症による国民生活や経済への打撃を受け政府は4月7日、緊急経済対策を閣議決定した。住宅分野では、業界団体も強く要望していた、住宅ローン減税適用要件の緩和措置が盛り込まれた。 住宅ローン減税は、2019年10月の消費増税に伴う住宅取得支援策として、3年間の延長措置が講じられている。しかし、中国からの部材供給の停滞により工事の完了と引き渡しに遅延が発生しており、同延長措置に規定する「2020年12月末までに入居」という適用要件を満たせない危険性が指摘されていた。

そこで今回の税制措置では、この“入居要件”を緩和する。①同感染症の影響によって新築、建売、既存または増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと、②新築は2020年9月末、それ以外は同年11月末までに取得や増改築等の契約を行ったこと、③2021年12月末までに②の住宅に入居していること―という諸条件を満たせば、同延長措置を受けられることとする方針だ。これにより、現在までに契約または着工済みの住宅に関しては、想定していた延長措置が適用されないという可能性は極めて低くなる。更に住宅営業の現場においても、「取得する住宅がローン減税延長措置の適用外になってしまう」という不安を低減し、引き続き提案の際に訴求しやすくなると見られる。

既存取得後のリノベも対応

同様に、通常の住宅ローン減税についても、既存住宅取得時の「取得後6カ月以内の入居」という要件を緩和する。①同感染症の影響によって、取得した既存住宅に行った増改築等と入居が遅れたこと、②①の増改築等の契約が当該住宅取得の日から5カ月後までに行われていること等、③①の増改築等の終了後6カ月以内に当該住宅に入居していること―が条件。

増改築が完了次第の入居でよくなるため、既存住宅取得後に自己資金で行ったリノベーション工事が完了せず入居できないような場合にも、ローン減税の適用を受けられないという事態は当面回避できそうだ。

なお、これらの緩和措置を受けた場合にも通常どおり、住宅ローン控除可能額のうち所得税から控除しきれなかった額は個人住民税から控除され、全額国費で補てんする。更に、耐震改修を行った住宅に係る不動産取得税の特例措置も、適用要件の緩和を盛り込んだ。耐震基準不適合の既存住宅については、取得から6カ月以内に耐震改修を行い、かつ入居した場合には税制上の特例措置が設けられている。この特例も住宅ローン減税とほぼ同様の枠組みで、同感染症の影響による入居の遅れを容認し、措置を受けられるようにする。

次世代住宅ポイントも延長

加えて国土交通省は、消費増税に伴う支援策の1つ、次世代住宅ポイント制度についても申請期間の延長を決めた。同感染症の影響により、事業者から受注や契約を断られる事例の発生を受けた措置で、8月31日まで申請受付期間を延長する。延長期間における申請については、2020年3月末までに契約できなかった理由の申告が必要。
 このほか同対策案では、感染拡大防止や医療体制強化などをはじめ、雇用の維持、中小事業者や個人への支援、観光業など被害の大きな業界への支援など、複数の施策を対策案に盛り込んでいる。

(『住宅新報』2020年4月14日号より抜粋・編集)