国交省 消費者の省エネ意識を向上
「目安光熱費」22年4月導入へ
国土交通省は3月15日、「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」(座長・田辺新一早稲田大学教授)の第3回会合を開き、ポータルサイト等における住宅省エネ性能の“光熱費換算表示”を、「目安光熱費」の名称で22年度から本格運用を目指すことと決めた。
今回の会合では、これまでの議論を集約した「取りまとめ」の案を提示。20年9月に公表した素案を基に検討を進め、同省告示の改正による新制度の枠組みを示した。
ポータルサイトにおける光熱費換算表示は、政府の注力するカーボンニュートラルの実現の政策目標達成へ向け、消費者の省エネ意識の向上などを図る目的で新たに導入する仕組み。住まい探しの際に多く利用されているポータルサイトにおいて、掲載物件の省エネ性能を一般にもわかりやすく金額で表示することで、省エネ性能の高い住宅の選択を促す狙いがある。掲載については義務化せず、任意制度にとどめた。
掲載時の名称については、小売事業者表示制度の「目安電気料金」と合わせ、「目安光熱費」とすることとした。当面は新築住宅を対象とし、既存住宅については今後検討していく方針だ。
サイト上に「目安光熱費」を掲載する基準としては、原則として「年額表示」「多段階表記と併記し、専用の入力項目を設ける」「解説ページの設置」などを求める。掲載ページ上の具体的な表示位置などについては、一律の基準は設けない。
表記する光熱費は、設計一次エネルギー消費量や燃料単価などを基に、同省がウェブで提供する計算プログラムを用いて算出。併せて“星マーク”を用いた多段階ラベル表記も設定し、わかりやすい表示による効果的な省エネ誘導を図る。
ただし、消費者がサイト上に表示された金額を実際の光熱費だと誤認しないよう、注記などによる配慮を求める。名称に「目安」を含めたことも、誤認の防止が理由の一つだ。同取りまとめ案では、「目安光熱費」の理解と周知を図るため、消費者向けリーフレットの作成などを行うこととしている。
今後同省は、9月までに告示の「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」を改正し、「目安光熱費」の本格運用を目指す。分譲マンションと戸建て住宅については22年4月ごろ、賃貸住宅については同年10月ごろの導入を見込んでいる。
(『住宅新報』2021年3月23日号より抜粋・編集)