「脱炭素化」へ有識者検討会が初会合
新築住宅「省エネ」義務化へ


国土交通省、経済産業省、環境省の3省は、4月19日、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」の初会合を開催した。これは「2050年カーボンニュートラル」の実現へ向け、住宅・建築物におけるハード、ソフト両面の取り組みと施策の方向性を定めるもので、住宅を新築する際の省エネ基準適合の義務化等を検討する。

検討会には、座長の田辺早稲田大創造理工学部建築学科教授をはじめ、法律、消費者などを代表する有識者、自治体首長らが出席した。

今年4月に施行された改正建築物省エネ法では、省エネ基準適合義務化の範囲が拡大。ビルやオフィスなど300㎡以上の中規模の新築建築物(非住宅)も加わった。一方、小規模なビルや住宅全般は適合義務の対象外だ。

国交省によれば、新築戸建て住宅のうち、省エネ基準に適合している住宅は、19年時点で80%超(うちZEHレベルは約25%)となっており、新築共同住宅では、同年時点で約72%(うちZEHレベルは約2%)。一方、住宅ストック約5,000万戸のうち現行の省エネ基準に適合している住宅は18年度時点では11%、92年基準に適合しているのは22%にとどまるのに対して、無断熱等の住宅は全体の約30%を占める。

改正建築物省エネ法では新たに床面積の合計が300㎡未満の小規模の住宅・建築物の設計を行う際に、建築士が建築主に対して、省エネ基準への適合の可否等を評価・説明することを義務付ける制度が創設された。ただ、国交省が全国の中小工務店・建築士それぞれに行ったアンケート(18年)では、省エネ基準の計算ができると回答したのは約5割にとどまり、現場の習熟度も課題として浮かぶ。

●太陽光パネル設置義務化には慎重論も

初会合では、新築住宅において省エネ基準適合を義務化するべきという意見が過半を占めた。一方、小泉環境大臣が言及した太陽光発電パネルの設置義務化については、「日照条件や積雪地域など立地差に考慮した対応が必要」「まずは公の非住宅で設置を推進し、機運を高める必要がある」など慎重な議論を求める意見も挙がった。また、既存住宅の改修については基準適合に必要なコストの大きさをどう解消していくのかという課題も指摘された。

委員を務める平井鳥取県知事は同県独自のとっとり健康省エネ住宅性能基準「NE―ST」を紹介した上で、「建築確認等の現場の実務負担の解消と、明確な補助制度が必要になる」と指摘した。
 同検討会は関係団体へのヒアリングなどを実施し、6月中にとりまとめを行う予定となっている。

(『住宅新報』2021年4月27日号より抜粋・編集)