秋山始 新理事長に聞く
「全国一体となって歩む」
6月の総会で約70年の歴史を持つ全日本不動産協会の新理事長に就任した秋山始氏(神奈川・平成社長)。コロナ禍で先行きの見通しが難しい中でのかじ取りとなる。「地方本部との対話を増やし、全国一体となって歩んでいきたい」と話す秋山新理事長に、今後の協会運営などを聞いた。
――就任の抱負をお聞かせください。
各地方本部の声を聞き、一体感をもって進めるように努めていきたい。そのためには、各地方本部として感じている課題や要望などを把握することが必要と考え、理事長就任後すぐに各地方本部宛てにアンケートを実施した。まだすべての回答が集まったわけではないが、中には総本部との距離を感じている声もあった。
――どのような対応を考えていますか。
できる限り接点を持つことが重要と考える。コロナ禍で行動に制限があり、タイミングが難しいが、まずは全国に8つある地区協議会を順次訪問する。そこで各本部長らと直接顔を合わせて話を聞くことを考えている。
――会員支援策はどのように考えますか。
何よりも大切なのは、会員が仕事をする上で必要な情報をタイムリーに、確実に伝えていくことだ。これまでも開業支援や法改正情報、市場動向など多様な研修メニューを用意して実施してきた。コロナ禍でオンライン会議やオンライン内見などインターネットツールの普及が進んできた。今後は研修にも、ネットを大いに活用して充実を図りたい。会場に足を運ばなくても、自分の都合のよい時間に受講できるのがメリットだ。それにより、例えばある地方本部独自で実施し、好評を得た研修があればYouTubeなどを使ってどの会員も参考にできるようにしたい。また、会員が弁護士など専門家に相談できる『相談センター』機能も充実させる。タイムリーな情報提供と相談体制の2点について、プラットフォームを整え、会員の更なるレベル向上につなげたい。
――長期的な業界展望は。
足元ばかりではなく、5年、10年先を見据えることも重要と考える。協会専属の研究機関として20年4月に『全日みらい研究所』が発足し、東京大学の不動産イノベーション研究センターと連携協力している。不透明な時代だからこそ、幅広い視野で研究していくことが大切になる。
(『住宅新報』2021年8月3日号より抜粋・編集)