持ち家が10カ月連続増
住宅着工 年率換算値は85.5万戸


国土交通省は9月30日、8月分の建築着工統計調査報告を発表した。それによると、新設住宅着工戸数は前年同月比7.5%増の7万4,303戸で6カ月連続の増加となった。持ち家、貸家、分譲住宅のいずれも増加。直近10年間では下から3番目の水準だ。

新設住宅着工床面積は614万7,000㎡(前年同月比12.5%増)で、5カ月連続の増加となった。また、季節調整済年率換算値は85万5,000戸(前月比7.7%減)で、先月の増加から再びの減少となった。

戸数の内訳を見ると、持ち家は2万5,100戸(前年同月比14.5%増)で10カ月連続の増加。これは直近10年間では上から5番目の水準となる。特に民間資金による持ち家が2万2,624戸(同15.6%増)と10カ月連続で増加しており、持ち家全体の戸数を押し上げている。同省では、事業者へのヒアリング結果として、「グリーン住宅ポイント制度や住宅ローン減税の契約期限を意識した人の需要はあったが、駆け込み需要といえるかまでは分からない」と説明した。

また、貸家は2万8,733戸(前年同月比3.8%増)で6カ月連続の増加。このうち公的資金による貸家は2,513戸(同13.0%増)と3カ月ぶりの増加に転じ、民間資金による貸家は2万6,220戸(同3.0%増)で6カ月連続の増加となった。

分譲住宅は、全体では1万9,936戸(同5.3%増)で、2カ月連続の増加。このうちマンションは7,968戸(同15.0%減)で反転減となり、直近10年間では下から2番目の低水準となった。一戸建ては1万1,783戸(同24.6%増)で4カ月連続の増加となり、直近10年間では上から4番目の水準となった。同省では分譲戸建て住宅について「土地の仕入れから4カ月後の着工が一般的であり、20年4月に緊急事態宣言が発令された影響で昨年8月は低水準となった」と説明。事業者による20年末から続く仕入れ件数の増加と販売の好調さを認めながらも、21年8月分の着工戸数は中期的視点では多くない点を指摘した。

なお、同省では新型コロナウイルス感染症に対する事業者の声もヒアリング。「注文住宅メーカーからは、緊急事態宣言の発令期間が長引いたため、8月の展示場来場者数は前年割れとなり、年末の受注、着工に不安があるとの声が聞かれた。一方で、ワクチン接種は明るい材料であり、期待しているとの声もある」と説明。今後、感染者数に左右されながら推移していくとの見方を示した。

(『住宅新報』2021年10月5日号より抜粋・編集)