国交省 不明土地法見直しへ骨子案
円滑利用の仕組みづくりへ
市町村主体、国の支援も整備


次期通常国会への提出に向け、所有者不明土地法見直しの検討が進められている。国土交通省は2021年11月、第45回国土審議会土地政策分科会企画部会を開き、所有者不明土地法の見直しに向けたとりまとめ骨子案を示した。所有者不明土地(以下、不明土地)の円滑な利用や地域一体で進めるための仕組みなどを盛り込む。管理不全土地の適正な管理に向けて、基礎自治体である市町村を主体とした取り組みを基本としながらも、国等による財政、人的な支援を整備する考えだ。

骨子案は、不明土地の現状をはじめ、2018年の特別措置法制定や2020年の土地基本法改正、2021年の民事基本法制の抜本的な見直しなど、関係省庁が一体となって推進してきた「これまでの取り組み」を筆頭に、「今後の見直しの方向性」と「対策推進に向けたその他の取り組み」という3つの柱で構成する。

2つ目の柱である「見直しの方向性」は、地方公共団体へのアンケート調査結果の分析や関係省庁へのヒアリングによる検討を反映した。具体的には、(1)「不明土地の円滑な利用を図る仕組みの拡充」で、地域福利増進事業の見直しの必要性に言及。2021年12月時点で裁定まで至った事例がなく、市町村への調査でも「適当な事業が対象となっていない」「土地等使用権の上限期間(10年間)が短い」などの理由が指摘されている状況を踏まえ、より活用しやすい制度設計を目指す。

また、(2)「管理不全土地の適正な管理を図る仕組みの創設」については、管理不全土地が及ぼす悪影響の発生状況は人口規模や行政区域ごとの機能によって差異があること、またその内容も雑木の繁茂といった軽微なものから土砂崩れなど人命・財産に危険を及ぼす重大なものまで幅が広いことを考慮。さらに空き地の管理・利用促進の取り組みを行う市町村においても施策の内容はさまざまで、個々の管理不全土地の状況や周辺地域の環境を踏まえた手段を選んでいる状況がある。
そのため、防災等の観点から、法律への規定に関しては管理不全状態を要因とする深刻な悪影響の発生防止を要件としながらも、地域立法である自主条例に委ねること、市町村を主体に対応することを総論として示した。

また、これまでも同部会で管理不全状態の不明土地における防災等のための制度設計の必要性が指摘されていることを踏まえ、法律が規定する主な対象を管理不全状態の不明土地とすることとした。委員からは「市町村の人的、財政的な不足」を指摘する声も多く、事務局も「国、地方団体共に必要な支援を図っていく」と回答した。

(『住宅新報』2021年12月7日号より抜粋・編集)

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