宅建士講座
2023.05.12
宅建士試験合格のコツ

Vol.50 宅建業法
~宅地建物取引業保証協会~


宅地建物取引業保証協会(保証協会)に関する問題は、本試験において原則として毎年1問出題されていますので、確実に得点できるようにしておきたいところです。学習する際は、営業保証金制度との相違点に気をつけながら、知識を整理しておくことが大切です。

1. 保証協会とは

保証協会とは、宅建業者のみを社員(会員)とする一般社団法人で、国土交通大臣が指定したものをいいます。宅建業者が保証協会に加入するかどうかは自由ですが、弁済業務保証金制度を利用するためには、保証協会に加入しなければなりません。

①保証協会の社員になった宅建業者は、営業保証金の供託を免除される
②宅建業者は、複数の保証協会の社員になることはできない

2. 保証協会の業務

保証協会の業務には、必ず行わなければならない業務(必須業務)と、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けて行うことができる業務(任意業務)があります。

保証協会の業務

※必須業務のキーワード「苦情解決」「研修」「弁済」を覚えましょう。任意業務の種類については、ひととおり目を通しておく程度でよく、細かく暗記する必要はありません。

3. 弁済業務保証金分担金の納付

保証協会に加入する業者は、保証協会に対し弁済業務保証金分担金(金銭に限り、有価証券を用いることはできません)を納付しなければなりません。

(1)納付額

納付額

(2)納付時期

納付時期

※営業保証金の場合は、事務所を増設したケースにおいて、2週間以内に供託する義務は課されていないことも、あわせて押さえておいてください。

(3)弁済業務保証金の供託

保証協会は、社員から分担金の納付を受けたときは(業者が加入したときおよび事務所増設のとき)、1週間以内に納付額と同額の弁済業務保証金(一定の有価証券も可)を供託しなければなりません。供託先は、法務大臣および国土交通大臣が指定する供託所です。

4. 弁済業務保証金の還付

(1)還付のポイント

弁済業務保証金の還付に関する重要な知識をまとめると、次のようになります。

還付のポイント

(2)還付後の手続き

還付がなされた場合、保証協会が還付額と同額を供託し、社員は、その額と同額の還付充当金を保証協会に納付します。

還付後の手続き

5. 社員の地位を失った場合

保証協会の社員が社員としての地位を失ったときは、その日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません。

6. 弁済業務保証金の取戻しおよび弁済業務保証金分担金の返還

次の場合、保証協会は供託所から弁済業務保証金を取り戻すことができます。その後、保証協会は、同額の弁済業務保証金分担金を宅建業者に返還します。

①社員である宅建業者が社員でなくなったとき
②社員である宅建業者がその一部の事務所を廃止したとき(超過額の取戻し)

上記①の場合には、還付請求権者に対し、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告しなければなりませんが、②の場合は公告をせずに取り戻すことができます。

問題を解いてみよう!

論点の確認と
知識の定着を
  • 【Q1】宅地建物取引業者で保証協会に加入した者は、その加入の日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。(R1 問33)
  • 【Q2】保証協会から還付充当金を納付すべきことの通知を受けた社員は、その通知を受けた日から1か月以内に、その通知された額の還付充当金を当該保証協会に納付しなければならない。(H22 問43)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解き方>

Answer1
×

【解説】弁済業務保証金分担金は、「加入しようとする日までに」納付しなければなりません。加入後に納付するのではないのです。

Answer2
×

【解説】還付充当金は、保証協会から納付通知を受けた日から「1か月以内」ではなく、「2週間以内に」納付しなければなりません。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を35年以上務める。著書に『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2022』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。