宅建士講座
2026.06.12
宅建士試験合格のコツ

Vol.80 権利関係
区分所有法


区分所有法に法改正があり、今年の4月1日から施行されました。重要な改正内容となっていますので、今年の本試験において改正点から出題される可能性は非常に高いと思われます。ただし、区分所有法からは毎年1問しか出題されないので、細かな改正内容までは深入りする必要はないでしょう。そこで、今回は、改正点のうち出題可能性が高いと思われる部分を紹介します。

❶集会の決議の円滑化

(1)出席者多数決制度

改正前は、原則として、集会に出席していない者も含めた全区分所有者および議決権の多数の賛成により、集会の決議が行われることになっていましたが、建替え決議等、区分所有権の処分を伴う決議を除き、集会に出席した区分所有者による多数決で決議できるようになりました。

(2)所在等不明区分所有者の除外

裁判所は、区分所有者を知ることができない、またはその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(所在等不明区分所有者)以外の区分所有者または管理者の請求により、集会の決議の母数から除外できるようになりました。

普通決議であれば、改正後の条文(39条1項)は次のようになります。条文の文言としては、「出席した」という部分と「(議決権を有しないものを除く)」という部分に着目してください。

集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く)およびその議決権の各過半数で決する。

❷多数決要件の緩和

(1)共用部分の重大変更

共用部分の重大変更についての改正ポイントは次のとおりです。

改正のポイント

  • ①多数決要件の母数が「全区分所有者・議決権」ではなく、「出席区分所有者・議決権」となった。ただし、過半数(規約で過半数を上回る割合を定めることは可能)の出席は必要。
  • ②これまで区分所有者の頭数のみ、規約で「4分の3」を「2分の1を超える割合(=過半数)」まで減ずることができるとされていたが、区分所有者の頭数だけでなく、議決権も過半数まで減ずることができるようになった。

(2)共用部分の大規模復旧決議

建物の価格の2分の1を超える部分が滅失(大規模滅失)したときの復旧決議についての改正ポイントは次のとおりです。

改正のポイント

  • ①多数決要件の母数が「全区分所有者・議決権」ではなく、「出席区分所有者・議決権」となった。ただし、過半数(規約で過半数を上回る割合を定めることは可能)の出席は必要。
  • ②多数決割合が、これまで「4分の3」であったものが、「3分の2」に緩和された。

(3)建替え決議

建替え決議の多数決要件の母数は、これまでどおり出席区分所有者・議決権ではなく、全区分所有者(ただし、議決権を有しないものを除く)・議決権とされていますが、①地震に対する安全性基準に適合していないとき、②火災に対する安全性基準に適合していないとき、③外壁等が剥離・落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるとき、④給排水等設備の損傷・腐食により著しく衛生上有害となるおそれがあるとき、⑤いわゆるバリアフリー基準に適合していないときは、多数決要件が「5分の4」ではなく、「4分の3」となります。

❸多数決による区分所有建物の再生等

これまで抜本的な建物の再生方法としては建替え決議のみが定められていましたが、法改正により次のような決議をすることもできるようになりました。いずれも多数決要件は「5分の4」です。

  • ①建物更新決議(いわゆる一棟リノベーション)
    建物の更新とは、建物の構造上主要な部分の効用の維持または回復のために共用部分の形状の変更をし、かつ、これに伴い全ての専有部分の形状、面積または位置関係の変更をすることをいう
  • ②建物敷地売却決議(建物とその敷地を売却する決議)
    区分所有者・議決権のほか、敷地利用権の持分割合の5分の4の賛成が必要であることに注意
  • ③建物取壊し敷地売却決議(建物を取り壊し、敷地を売却する決議)
  • ④取壊し決議(建物を取り壊す決議)
  • ⑤再建決議(建物が全部滅失した場合に建物を再建する決議)

問題を解いてみよう!

  • 【Q1】 共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、集会に出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。この区分所有者の定数は規約で過半数まで減ずることができるが、議決権の定数を減ずることはできない。(予想問題)

  • 【Q2】 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)の者であって議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあっては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各3分の2以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。(予想問題)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解説>

Answer1
×

【解説】共用部分の重大変更については、区分所有者の定数だけでなく、議決権の定数も過半数まで減ずることができます。

Answer2

【解説】本問の記述は、共用部分が大規模滅失した場合の復旧決議を定めた区分所有法の規定のとおりであり、正しい内容です。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を35年以上務める。著書に『マンガ はじめてマンション管理士・管理業務主任者』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2025』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。