宅建士講座
2021.03.12
宅建士試験合格のコツ

Vol.24 権利関係
~区分所有法~


区分所有法に関する問題は、毎年1問出題されています。以前に比べると難易度が上がってきている印象がありますが、理論的な難解さはなく、出題頻度が高い項目を正確に押さえておけば得点することができます。そこで、今回は区分所有法の重要ポイントを押さえていきましょう。

共用部分の管理・変更等

変更行為が軽微変更と重大変更に区別されているのがポイント。共用部分の管理・変更等についての重要ポイントは、次のとおりです。民法の共有との違いに注意してください。

※1この場合の専有部分の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積をいう。
※2軽微変更とは「形状または効用の著しい変更を伴わない場合」をいい、重大変更とは「形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く場合」をいう。

集会招集

集会を招集する場合、集会の日より少なくとも1週間前に、会議の目的事項を示して、通知しなければなりません。ただし、区分所有者全員の同意があれば招集手続を省略することができます。

通常少なくとも年1回、管理者が招集
臨時区分所有者および議決権の各1/5(この数字を規約で減ずることはできるが増やすことはできない)以上で招集を請求できる

決議

(1)決議の方法

区分所有者および議決権の各過半数により決議するのが原則ですが(普通決議)、この要件は規約で軽減することができます(たとえば、集会に出席している区分所有者の議決権の過半数の賛成があればよいとするなど)。議決権は、書面(規約の定めがあれば電磁的方法も可)で、また、代理人によって行使することもできます。

区分所有者全員の承諾があれば、集会の開催を省略して、書面または電磁的方法によって決議することができます。また、区分所有者全員の書面または電磁的方法による合意があったときは、集会の決議があったものとみなされます。

(2)決議等における必要数のまとめ

※区分所有者の定数のみ、規約によって過半数まで軽減することができる。

多数決の原則は「過半数」なので、「過半数」以外のものを覚えさえすれば、あとはすべて「過半数」と考えてよい。「過半数」以外のものを覚えるためのゴロ合わせは、次のとおり。

①集会の招集請求1/5 → 「集会に来い(5・1)」
②建替え決議4/5 → 「建替えいいよ(5・4)」
③特別決議事項3/4 → 「妻子(3・4)大変(重大変更)法事(管理組合の法人化)客(規約の設定等)大福(大規模復旧)使用(使用禁止請求)拒(競売請求)否(引渡し請求)」

過去問を解いてみよう!

論点の確認と
知識の定着を
  • 【Q1】共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するが、規約でこの区分所有者の定数及び議決権を各過半数まで減ずることができる。 (H24 問13)
  • 【Q2】規約の設定、変更又は廃止を行う場合は、区分所有者の過半数による集会の決議によってなされなければならない。 (H30 問13)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解き方>

Answer1
×

【解説】共用部分の重大変更の決議要件のうち過半数まで減ずることができるのは、区分所有者の定数だけであり、議決権を減ずることはできない。

Answer2
×

【解説】規約の設定・変更・廃止は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってなされなければならない。


植杉 伸介

早稲田大学法学部卒業。宅建士、行政書士、マンション管理士・管理業務主任者試験等の講師として30年以上の実績がある。『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)など、これまでに多くのテキストや問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。