宅建士講座
2021.12.14

Vol.33 法令上の制限
~土地区画整理法~


本試験において、土地区画整理法の問題は、毎年1問ずつ出題されています。細かな知識からの出題も多く、確実に1点を取りにいくことは難しいかもしれません。しかし、だからといって毎年必ず出題されるのですから、土地区画整理法の問題を捨ててしまうべきではありません。基本的な知識を押さえれば、正解率50%を確保することはできるからです。

土地区画整理法

1. 土地区画整理事業の手法の概略

土地区画整理事業は、減歩と換地という手法によって行われます。

「減歩」というのは、宅地の一部を土地の所有者から一定の割合で少しずつ提供してもらうことをいいます。このようにして、提供された土地を集めて道路や公園などの用地にするわけです。

また、土地区画整理事業により造成され、従前の宅地(土地区画整理事業の施行前の宅地)の代わりに交付される宅地のことを「換地」といいます。従前の宅地と別の宅地を入れ換えることによって、減歩により提供された土地を道路や公園の予定地として集めることができます。

2. 仮換地

(1)仮換地とは

上で述べた換地は、原則として、土地区画整理のための工事がすべて終わった段階で行われます。しかし、土地区画整理事業は、不整形な土地を整形したり、道路・公園等の公共施設を整備するなど、多くの工事を伴うので、終了するまでにかなりの期間を要します。この工事の期間中に、従前の宅地の所有者が、その土地を以前と同じ状態のまま使用していたのでは、工事のじゃまになります。そこで、工事中に仮に使ってもらう土地として提供されるのが仮換地です。

(2)仮換地指定の効力

仮換地の指定は、仮換地となるべき土地の権利者(B)と、従前の宅地の権利者(A)に通知して行われ、これがあると仮換地指定の効力発生日から換地処分公告の日まで、Aは従前の宅地に対して処分権はあるが使用収益権はない状態、仮換地に対しては使用収益権はあるが処分権はない状態となります。

仮換地指定の効力

より具体的に示せば、従前の宅地の所有者Aは、従前の宅地と仮換地に対して、次のような権利状態になります。

従前の宅地
  • ①使用できない
  • ②他人に賃貸等して使わせることができない
  • ③売却したり、抵当権を設定したりすることはできる
  • ④所有権移転や抵当権設定の登記をすることはできる
仮換地
  • ①使用できる
  • ②他人に賃貸等して使わせることができる
  • ③売却したり、抵当権を設定したりすることはできない
  • ④所有権移転や抵当権設定の登記をすることはできない

3. 換地処分

(1)換地処分とは

換地処分とは、区画整理を行った施行地区内の土地について、従前の宅地の権利者に対して権利を割り当てる確定的な処分をいいます。換地処分は、原則として、全部の区域の工事が完了した後に、換地計画に定められた事項を関係権利者に通知して行われます。

ただし、定款等に特別の定めがあれば、例外的に区域の全部について工事が完了する前でも、換地処分をすることができます。たとえば、大規模な区画整理の場合に、一定の区域に区切って段階的に換地処分をすることなどもできるのです。

(2)換地処分の効果

仮換地指定による処分権と使用収益権の分属状態が、換地処分によって1つにまとまることになります。具体的には表1のような効果が生じますが、その効果が生じる時期が換地処分の公告の日の翌日なのか、公告があった日が終了した時なのか、しっかり区別してください。イメージとしては、古い権利が、公告があった日が終了した時(午後12時)に消滅し、同時に、新しい権利等が公告の日の翌日(午前0時)に生じるという感じです。

表1

換地処分の表1
換地処分の表2

表1にある「保留地」とは、土地区画整理事業の施行費用に充てる目的などのため、一定の土地を換地として定めないでおくもので(つまり、わざと余らせる土地)、換地処分の公告の日の翌日にすべて施行者が取得します。

問題を解いてみよう!

論点の確認と
知識の定着を
  • 【Q1】仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、または収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用または収益と同じ使用または収益をすることができる。(H28 問21)
  • 【Q2】換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。(R1 問20)

ic_kaisetsuこう考えよう!<解答と解き方>

Answer1

【解説】従前の宅地を使用収益する権利を有していた者(所有者、借地権者など)は、従前の宅地と同じように仮換地を使用収益することができるということである。

Answer2

【解説】換地が従前の宅地とみなされるようになるのは公告日の「翌日」、換地が定められなかった従前の宅地の上の権利が消滅するのは公告日の「終了時」である。


植杉 伸介

植杉 伸介

宅建士・行政書士・マンション管理士、管理業務主任者試験などの講師を30年以上務める。著書に『マンガはじめて建物区分所有法 改訂版』(住宅新報出版)、『ケータイ宅建士 2021』(三省堂)などがあるほか、多くの問題集の作成に携わり、受験勉強のノウハウを提供している。