再開発地探訪① 鹿児島県鹿児島市
地域全体で回遊性を創造するまちに
「陸の玄関口・鹿児島にふさわしい“にぎわい”を創出していきたい」。
2004年の九州新幹線部分開業(鹿児島中央~新八代)を機に、鹿児島中央駅を中心に再開発を推進してきた鹿児島市。10数年の構想を経て、鹿児島市はいま「中央町19・20番街区市街地再開発事業」を皮切りに、さらなる再開発ラッシュで南九州最大の都市に生まれ変わろうとしています。
新幹線の開通を機に中心地は更なる発展へ
鹿児島中央駅は、かつて西鹿児島駅という名称でしたが、2004年に九州新幹線が乗り入れたのを機に駅名を改め、鹿児島の玄関口へと変貌を遂げています。在来線においても多くの列車が同駅を始発・終着としており、鹿児島県内外を繋ぐターミナル駅として機能。1日の乗降客数は20,271人(令和元年度)で、九州では博多駅、小倉駅に次ぐ3番目の多さを誇ります。
また、九州新幹線の開業に合わせて、新幹線とバスや市電等他の交通機関とのアクセス機能の強化、既存商業地との回遊性を考慮した鹿児島中央駅周辺の再開発を行い、同年には錦江湾や桜島を一望できる観覧車が設置された大型商業施設「アミュプラザ鹿児島」が同駅に開業しました。「アミュプラザ鹿児島」には、開業後4カ月余りで500万人が来店しており、同駅は観光の基点としての機能に加え、鹿児島の新たな一大集客施設としての機能も果たしてきました。それから10数年が経った2021年、新たなランドマークとして「鹿児島中央タワー」が誕生し、全国から脚光を浴びています。
「鹿児島中央タワー」は、鹿児島中央駅東口駅前広場に面する中央町19・20番街区において、土地の合理的かつ健全な高度利用を図り、鹿児島の玄関にふさわしい都市景観の形成や、にぎわいとゆとりある都市空間の創出、都心居住を促進する良好な都市型住宅を供給すること等を目的に建造されました。「鹿児島中央タワー」は地上24階、地下1階で構成され、高さは約100メートル。鹿児島県庁(約93メートル)を抜いて県内で最も高い建物となりました。タワー内を見ると、低層階(1~7階)には店舗面積8,100㎡の商業施設「Li-Ka1920」が入居。この名前は商業施設の愛称で、“Li-Ka(ライカ)”という言葉には“来る鹿児島(来鹿)”、“鹿児島を好きになる、好きなこと(ライク鹿児島)”、そして“鹿児島に住みたい(ライフ鹿児島)”という大きく3つの意味が込められています。なお、5階には最大450名収容可能な多目的ホール「ライカ南国ホール」のほか、大小様々な貸し会議室やコワーキングスペースなども備えられています。高層階(7~24階)には住宅(分譲マンション210戸)がつくられ、3月30日に催された完成記念式典のときには、既に全戸完売していたといいます。
鹿児島中央駅を中心に継続される再開発
再開発で注目されているエリアは、鹿児島中央タワーが建造された中央町19・20番街区だけではありません。千日町1・4番街区で進められている「センテラス天文館」の完成も市民から心待ちにされています。これは同街区の再開発ビル建設計画に伴い、2018年2月12日をもって閉館した老舗タカプラを中心に、L字に広がる約6,000 ㎡の敷地一体を活用した15階建高層複合ビルに建て替える再開発です。千日町の1番街区・4番街区を形成していた28棟の建物が、延べ床面積約36,700㎡の共同ビルに生まれ変わります。2018年11月より解体工事に着手し、2022年春のオープンを目指して工事は進行され、ビル内には、商業・業務施設、ホテルなどのほか多目的ホールが、隣接する通り沿いには、外向き店舗として飲食街が展開され、周辺の賑わいとの連続性が演出されます。また、電車通りに面した広場や鹿児島初の“まちなか図書館”、空中庭園、最上階には展望レストラン・展望スペースが設けられる予定です。ほかのエリアに目を移すと、交通局跡地に「キラメキテラス」という施設の開発が進んでいます。この施設には商業施設をはじめ、鹿児島初の外資系ホテル、多機能型医療機関、大規模駐車場などができる予定です(2021年元旦の病院の開業を皮切りに23年にかけて順次開業予定)。
そしてJR九州は19・20番街区の再開発で注目されたJR鹿児島中央駅東口地区ではなく、もうひとつの西口地区で、複合商業ビルの開業を2023年春に予定していることを発表しました。
計画では約8500㎡の用地に、10階建てのオフィスと商業施設が入るビルを建設するといいます。同地区ではマンションなど住居棟を23年度以降に着工する計画もあり、本開発が契機となり今後も継続的に開発が行われ、鹿児島中央駅を中心としたエリアはますます目が離せないエリアとなりそうです。