まちの紹介
2022.06.14

「楕円形の都心づくり」で中四国地方をリードする都市へ
〜広島市中心部の再開発〜


広島駅周辺地区から紙屋町・八丁堀方面を望む
広島駅周辺地区から紙屋町・八丁堀方面を望む

都心活性化に力をいれ、令和2年以降、急ピッチで再開発が進む広島市。
その背景には、市域・県域のみならず中四国地方を常に牽引してきた広島市ならではの“都心”に対する強い考えがあります。

再開発を加速させた「特定」地域への格上げ

広島市は平成29年に県と共同で策定した「ひろしま都心活性化プラン」の中で、人口減少や少子高齢化の進行など社会経済情勢が大きく変化する時代、都市の活力を維持・向上していくためには、市街地の拡大を抑制し、さまざまな都市機能を集積させる「集約型都市構造」への転換が必要だと説いています。そして市域を越えた地域(広島広域都市圏、広島県域、中四国地方)全体が発展し、地方創生を実現するためには、広島市都心の中枢拠点性をさらに向上させることを条件とし、「広島駅周辺地区」と「紙屋町・八丁堀地区」を都心の東西の核と位置づけ、「楕円形の都心づくり」を進めています。現に今、JR広島駅で駅ビルの建て替え工事等が進められ、紙屋町・八丁堀地区では再開発計画が相次いで発表されています。

市が掲げる「楕円形の都心づくり」に追い風が吹いたのは、平成30年10月、紙屋町・八丁堀地区が国の「都市再生緊急整備地域」に指定されたことにあります。それまで市中心部の建物は老朽化が進み、旧耐震基準で建てられたビル等が点在し、建て替えのタイミングは訪れていました。しかし郊外の大型店との競合が激しくなる中で、紙屋町・八丁堀地区の集客力は徐々に低下し、再開発の機運は高まらなかったといいます。そんな折、平成15年に広島駅周辺地区が都市再生緊急整備地域に指定され、停滞していた駅前の再開発が一気に進行。この件に刺激を受けた広島市は、紙屋町・八丁堀地区も都市再生緊急整備地域に指定するよう、国に働きかけたといいます。その後、令和2年、両エリアの一部はさらに手厚い優遇が受けられる「特定都市再生緊急整備地域」に指定。特定都市再生緊急整備地域は、東京・名古屋・大阪の三大都市をはじめ札幌、福岡等の15地域で指定があり(令和4年5月2日時点)、中四国地方では広島市が初めてのことです。

JR広島駅南口から路面電車乗り場に続く通路沿いの工事用の仮囲い「HIROSHIMA CONNECTING WALL」。
JR広島駅南口から路面電車乗り場に続く通路沿いの工事用の仮囲い「HIROSHIMA CONNECTING WALL」。

広島市の都心におけるまちづくりの歩み

これまでも広島市は“都心”に重きを置き、「広島市基本計画」や「広島市都市計画マスタープラン」を踏まえ、地域地区(用途地域・特定街区等)、都市施設(道路・公園等)及び地区計画などを定めながら、都市機能の充実・強化を図り、さまざまな施策に取り組んできました。その歩みは次のように大きく4つの時期に分けられます。

■戦後復興期(昭和20年~昭和40年頃)

この時期は、「広島平和記念都市建設計画」に基づき、道路、公園、下水道などの都市基盤が整備され、広島平和記念資料館、旧広島市民球場、広島県庁舎本館等を整備。

■高度経済成長期から政令指定都市移行期(昭和40年頃~昭和60年頃)

高度経済成長期に入り、鉄道やバスターミナルなどの交通施設、百貨店などの商業施設等を整備し、様々な都市機能を強化した。また、基町地区再開発事業や河岸緑地の整備、都市美計画の策定や景観協議制度の創設等、良好な都市環境形成に向けた取組を実施。

■広島アジア競技大会を契機とした時期(昭和60年頃~平成7年頃)

この時期には、平成6年の広島アジア競技大会の開催を契機として、戦後に整備された施設の更新、宿泊施設やホール・会議場の整備、新交通システムの整備等が行われ、都心が大きく変貌。

■近年~現在(平成7年頃~平成28年)

低成長時代に入ったものの、戦後の老朽化した建物の更新、宿泊施設の整備、都市型住宅の供給、交通ネットワークの強化、景観条例に基づく都市景観の形成等、各種都市機能の充実・強化や良好な都市環境形成の取組を実施。

同様に地域の変遷で見ると、戦後、広島市の都心は、主に紙屋町・八丁堀地区を中心に都市機能が充実・強化され、広島アジア競技大会後、広島駅周辺地区においては、広島駅南口、若草町地区及び二葉の里地区の再開発、広島市民球場の建設を進め、都市機能の充実・強化を図ってきました。

■都心におけるまちづくりのあゆみ

都心におけるまちづくりのあゆみ
「ひろしま都心活性化プラン」(平成29年3月策定)より引用

徐々に明らかになる中心部の再開発

「広島駅周辺地区」で注目される再開発が、玄関口となるJR広島駅の駅ビルの建て替え工事です。令和3年3月より建設工事が始まり、令和7年の春開業を予定しています。同施設は地上20階建ての高層ビルとなり、商業施設やホテル、シネマコンプレックスが入る予定。2階には路面電車が高架で乗り入れます。また、JR広島駅西隣にある広島東郵便局跡地には「広島JPビルディング」として生まれ変わり、今年の8月に竣工予定だといいます。ビルは地上19階、塔屋2階。低層部には緑豊かな公開空地や歩行者空間を設け、誘致する店舗と共に駅前ににぎわいを生み出します。

「紙屋町・八丁堀地区」では、複数の再開発が進行しています。徐々に詳細が見えてきたのが基町駐車場一帯の再開発事業(基町相生通地区第一種市街地再開発事業)です。建設される高層ビルは31階建て、高さは160メートルを誇り、完成すれば紙屋町・八丁堀地区で最も高いビルとなります。計画によればビルは地上31階、地下1階建ての設計で、低層階には広島商工会議所が移転、そのほか店舗や駐車場が入るといいます。中層階はオフィス、高層階はホテルが入居。ホテルは外国人観光客の利用も想定され、高級仕様になるといわれています。同ビルは都心の新たなランドマークとして認知されそうです。また、中国地方最大の商店街、本通り商店街の一角では、高層ビル2棟の建設が発表されました。検討区域は路面電車が通る鯉城通りの東側一帯で、本通りを挟む約1.5ヘクタール。ホテルや商業施設、マンション等が入る予定で、10年後の完成を目指します。

そして、戦後復興のシンボルとして整備された中央公園も生まれ変わります。話題に上っているのがJリーグや国際試合の開催等にも対応できるサッカースタジアムの建設です。ピッチと観客スタンドの距離が近く、より臨場感を楽しめる施設として、令和6年2月のオープンを目指します。また、球場解体後、10年間更地だった旧広島市民球場跡地はイベント広場として運営していくとのこと。一角にスケートボートやBMXなど若者が利用できるエリアを設けるといいます。

■「楕円形による都心づくり」による主な都市開発事業

「楕円形による都心づくり」による主な都市開発事業
民間開発事業については新聞等の情報で独自に編集
都心の交通を支える路面電車。新駅ビル完成後、2階広場に乗り入れることが確定した。
都心の交通を支える路面電車。新駅ビル完成後、2階広場に乗り入れることが確定した。
東西に577m伸びたアーケードタイプの「広島本通商店街」。中四国地方で最大の規模を誇る。
東西に577m伸びたアーケードタイプの「広島本通商店街」。中四国地方で最大の規模を誇る。
JR広島駅南口再整備・駅ビル建て替えの工事現場。従来の駅ビル「ASSE」は建て替えのため令和2年に閉館。
JR広島駅南口再整備・駅ビル建て替えの工事現場。従来の駅ビル「ASSE」は建て替えのため令和2年に閉館。

大規模再開発が行われる地で不動産事業者が寄せる期待

再開発が進むエリアで事業を営む不動産事業者が期待することとは何か。また、人の往来が激しい地方都市で心掛けることとは何か。株式会社シティホーム広島賃貸営業室・ブロック長の末本啓介氏に話を聞きました。

「顧客満足度向上」で一番心掛けているのは“清潔感”。そう語る末本氏。
「顧客満足度向上」で一番心掛けているのは“清潔感”。そう語る末本氏。

IT重説をヒントに動画&ブログ制作を開始

―まずはシティホームの事業内容・種目を教えてください。

賃貸仲介業とマンションの管理業を行っています。昭和63年12月に設立して、今年で34年を迎えます。広島市内に15店舗、岡山県に3店舗、香川県に1店舗、東京に1店舗の計20店舗で事業を展開しています。

―「紙屋町・八丁堀地区」は広島市の中心部ということもあり、やはり賃貸需要は高いですか。

そうですね。商業地かつ大手企業等の支社が多いこともあり、近郊に住む方や転勤で来られるファミリー層の需要が高いです。ほかにも中小企業の事業主の方等も多くいらっしゃいます。

―ホームページを拝見すると動画や物件紹介ブログなどが充実しています。部屋探しが楽しくなりますね。

ありがとうございます。動画やブログが集客にどれだけ結びついているかといった数値は明確に算出していませんが、当社のスタッフが顔を出すことによって、お客様に親近感、安心感を与えているのではと感じています。ブログは月に数回、動画は1本ペースでアップしています。

動画やブログ制作を始めたのは、IT重説が始まったころ。当社のお客様は仕事の都合で県外から来られる方も多いので、IT重説は外せないソリューションでした。その後、コロナ禍に陥って、お客様が店舗に来られなくなる状況も続きましたから尚更です。そのとき同様に、画面を通じて県外の方でも気軽に部屋探しを楽しめるようになるのではと思ったのがきっかけでした。

―先ほど店舗数の話が出ましたが、広範囲に渡って店舗展開を可能にした要因は何だと思いますか。

当社では常々、「顧客満足度を上げる」をモットーに接客をしてきましたから、その姿勢がいい影響をもたらしているのかなと感じています。一番わかりやすいのは、お客様がリピーターになってくれたときです。賃貸仲介業がメインですから、周期で契約を更新されます。その時に「新たな部屋を探しに来た」と以前契約されたお客様が来店したときは心底うれしくなります。

部屋探しを通じて広島の良さを伝えたい

―「紙屋町・八丁堀地区」で再開発が始まります。

非常に楽しみにしています。広島市民としてまちが新たに生まれかわるんだという期待と不動産事業者として抱く期待もあります。

十数年前のJR広島駅北口地区の再開発のときも多くの人が流れ、観光客も増えました。特に大勢の外国人観光客が来たことを今でも覚えています。今回の再開発は、そのときよりはるかに規模が大きいですから、多くの企業や人が流れてくると予想しています。私どもの業界ももちろんですが、多くの人でにぎわい、地域経済が活性化してくれればいうことないですね。

―今後、不動産業を通してどのように地域に貢献したいと考えていますか。

部屋探しを通じて「シティホームを選んでよかった」、県外から来た方たちには「広島に住んでよかった」。そう思ってもらえるような接客を心掛けたいと思っています。 


株式会社シティホーム
紙屋町センター

住所:広島県広島市中区大手町1-1-22
第3純ブライトビル1F
電話:082-542-8282
FAX:082-542-8333
[ホームページ]
https://www.cityhome.jp/

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